東京は花粉シーズン真っただ中 マラソン界のホープ・近藤亮太も大苦戦「終わった瞬間ぶわっと…」

東京は花粉シーズン真っただ中 マラソン界のホープ・近藤亮太も大苦戦「終わった瞬間ぶわっと…」

【スポーツ記者コラム】東京マラソンが3月1日に行われ、昨秋の世界選手権東京大会代表の近藤亮太(三菱重工)は2時間7分6秒で日本人4番手の17位に入った。この大会は2028年ロサンゼルス五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(来年10月名古屋開催)の出場権をかけたレースでもあり、近藤も無事にMGCの切符を獲得した。

レース後、取材エリアの隣で行われていたMGCのチケット贈呈式を覗いてみると、ちょうど近藤がくしゃみを連発している場面だった。大会当日の空は晴れ渡り、スタート時の気温は16.6度。風も吹き、花粉が大量に飛散する条件がそろっていた。走っている最中は交感神経が働き、症状が治まっているようだが、「終わった瞬間ぶわっとくる」と近藤。花粉症の治療薬にはドーピング検査に引っかかる成分を含むものがある。職業上、薬の服用には慎重にならざるを得ず、「弱い薬しか使えない」とティッシュで鼻を押さえながら嘆いた。マスクをしても鼻が詰まって呼吸が苦しく、大会前も寝付けなかったという。

有力選手のゴールから数十分が経ち、取材に一区切りがついた。ゴール付近の取材エリアから会見場へ向かう途中、通路の角に赤いジャージーを着た人がしゃがみこんでいた。鼻をかんでいる近藤だった。記者も中学時代から花粉に悩まされ、他の競技では涙が止まらないまま囲み取材をしたこともある。アスリートではないので薬で症状を抑えることができるが、このつらさはよく分かる。背中を丸めた哀愁漂う姿にシンパシーを感じた。

昨年2月の大阪マラソンで初マラソン日本記録(2時間5分39秒)をたたき出し、すい星のように現れた近藤。昨秋の世界選手権では入賞争いを繰り広げて日本勢トップの11位となり、一発屋ではないことを示した。今回の東京は1月末に左ひざを痛めて1週間練習を中断した影響もあったものの高水準でまとめ、トップ選手としての意地を見せた。フルマラソンはまだ3本しか走っていないが、一つも外していない。

昨年12月のバレンシア・マラソンで、大迫傑(リーニン)が鈴木健吾(横浜市陸協)が21年に出した日本記録を1秒上回った。マラソン界の歴史がまた大きく動き始めている。「42キロの距離は怖くない。その戦い方を常に模索している」と近藤。今後はMGCファストパスを視野に入れ、ロサンゼルス五輪代表を目指していく。ファストパスは期限内に設定記録(男子は2時間3分59秒)を突破した最速の選手をMGCを前に代表に内定する制度。ひとまずMGCの出場権は確保した。26歳のホープの更なるサプライズに期待をしたい。(川並温美)