◇陸上・大阪マラソン(22日)
◇男子 平林清澄(ロジスティード)=2時間6分14秒(5位)
10キロにさしかかった頃だった。
平林清澄(きよと)は、横を走っていた国学院大の後輩の高山豪起に声をかけられた。
「吉田(響)さん、行きましたよ」
自分は先頭集団の後方におり、吉田の8キロ手前での飛び出しに気づかなかった。
「何を言ってんだと。はじめは(吉田が)給水を取りに行ったと思ったんですけど、そのまま行っちゃった。驚きはありました」
30キロ過ぎの折り返しで、吉田とのタイム差は約1分。「今のうちに出ないと追いつかない」
31キロ付近で、優勝したイブラヒム・ハッサンを追うように集団を抜け出した。
残り5キロ付近で吉田を捉えた。2時間6分30秒を切り、2028年ロサンゼルス・オリンピック代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(27年秋)の出場権を獲得。自己ベストで日本選手トップとなり「まずは一安心」と納得顔だった。
大阪マラソンは24年大会で優勝したが、今大会までの1年間は、自ら「冬眠」と表現する失意の中から始まった。
国学院大4年だった25年2月、別府大分毎日マラソンに出場した。世界選手権東京大会の代表入りを狙ったが、終盤に失速して9位。「何もかも失った」気持ちになった。
2週間ほど休みを取ったが「何事もうまくいかなかった」。大学での競技生活を終え、新たな目標を見つけられなかった。
卒業後に始めた1人暮らしも負担だった。マットレスと机だけの部屋で「走るのが先か、日常生活を整えるのが先か、そこから分からない」日々を送った。人生で初めてパーマもかけたという。
だが、ともに練習する国学院大の後輩たちと接するうちに、少しずつ立ち直った。
昨年9月には国立競技場に足を運び、世界選手権のマラソンを目に焼き付けた。
「やっぱりマラソンをやりたい」
情熱がよみがえった。
今回の大阪マラソンは、2月としては気温が高かったのもあり、最後は「脚がピタッと止まった」。外国選手に競り負けて全体5位だった。
それでも「新しい課題を見つけられた」と前向きだ。
今後は記録を狙い、海外のマラソンへの挑戦に意欲を示す。
レース後、明るい口調で言った。
「冬なんですけど、今日も暖かいので。そろそろ目覚めようかなと」【深野麟之介】
平林清澄がMGCへ 「そろそろ目覚めようかなと」 大阪マラソン
引用元:毎日新聞


