太田琴菜、思い出の地『名古屋』でラストラン…特別な思いで同じレースを走った2人のランナーがいた

引用元:中日スポーツ
太田琴菜、思い出の地『名古屋』でラストラン…特別な思いで同じレースを走った2人のランナーがいた

◇記者コラム「Free Talking」

 現役最後のレースで、沿道のファン、そしてともに戦った仲間へ「幸せなひととき」を届けた。8日の名古屋ウィメンズマラソン。日本郵政グループの太田琴菜(30)は、2時間38分39秒の26位でフィニッシュした。2022年に初マラソンを経験した思い出の地・名古屋をラストランの舞台に選び、「沿道から今までにないほどの声援をいただき、幸せな競技生活だった」と笑顔で振り返った。

 競技を通じて結ばれた「人の縁」が太田を待っていた。所属先の先輩、鈴木亜由子(34)は約5分早くゴール。再起を期したレースで苦戦し、険しい表情で走りきった後も、チームスタッフとともにその場を離れなかった。「郵政のみんなでこっちゃん(太田)のゴールを待とうと思っていた」。完走した太田のもとに駆け寄ると、ようやく鈴木の顔にも安堵(あんど)の笑みがこぼれた。

 もう一人、特別な思いで走ったのがペースメーカーを務めた田中希実(26)=ニューバランス=だった。太田と同じ兵庫県出身で、ともに都道府県対抗女子駅伝を走った仲でもある。田中は「(駅伝では)嫌な顔一つせず、何度も苦しいアンカーを引き受けてくださった。太田さんの引退は寂しいが、最後に一緒に走れてうれしい」と、感謝の言葉を口にした。

 立命大を卒業後、18年に入社。実業団選手として8年間活動し、主将も務めた。24年の全日本実業団女子駅伝(クイーンズ駅伝)ではアンカーとして区間賞の快走を見せ、チームを優勝へと導いた。現役最後のレース後、翌日に至るまで、太田をねぎらう関係者やファンは絶えなかった。競技生活の幕を下ろした太田は、最後まで周囲に幸せを届けるランナーであり続けた。(一般スポーツ担当・広瀬美咲)