田中希実、今季テーマに「挑戦」 8日・名古屋ウィメンズでマラソン初ペースメーカー 世界大会のない年だからこそ「どう転んでも楽しめそうなシーズン」…インタビュー

引用元:スポーツ報知
田中希実、今季テーマに「挑戦」 8日・名古屋ウィメンズでマラソン初ペースメーカー 世界大会のない年だからこそ「どう転んでも楽しめそうなシーズン」…インタビュー

 陸上女子で1500メートルや5000メートルの日本記録を持つ田中希実(26)=ニューバランス=がスポーツ報知の取材に応じ、東京世界陸上を終えた今シーズンの目標などを語った。今季は2020年以来初めて五輪や世界陸上が無いシーズン。だからこそ、8日の名古屋ウィメンズマラソンではマラソンで初のペースメーカーを務めるなど新しい「挑戦」もテーマの一つ。世界で戦い続ける田中は、今季も自身の殻を破る。(取材・構成=手島 莉子)

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 どんなシーズンも、田中は貪欲に成長を求め続けている。「今季は挑戦、自分らしさを取り戻すというテーマが一番」。昨年9月の東京世界陸上では1500メートル予選敗退、5000メートル12位。自国開催の大舞台を終え今季は20年以来、五輪も世界陸上も無いシーズンだ。だからこそ「世界陸上がある年だと、それに一極集中しかできない。今は本当の意味で真っ白な感じ。今からどんなことを描いても良いという状態が久しぶりに訪れている」とすがすがしい表情。「何かを重荷に感じるんじゃ無くて、新しい気持ちで臨みたい。変化を続けながら、一番良い形を見つけていく1年にしたいです」と笑顔で目標を定めた。

 挑戦の一つとして、8日の名古屋ウィメンズマラソンではマラソンでは自身初のペースメーカーを務める。今年に入って既に海外9レースを走破している田中は「トラックで勝負するに当たって、今のところ自分の強みを見つけられていない部分があります」と明かす。日本女子中長距離界エースとして国内は負け無し。ラスト1周の速さやハイペースで押せる強さも際立つが「海外に舞台を移すとどちらも武器になっていない。圧倒的なスタミナが無いと、乳酸値マックスの中でラスト1周を60秒を切ることができない」と説明した。

 ベースアップを図るため、「今までは量より質でしたが、質を極力落とさないようにしつつも、ボリュームを持たせたりしています」と練習にも変化を持たせている。あえて足が重い状態でスピード練習を行ったり、普段のジョギングの距離も少しずつ増えており「無意識にペースがあがったりもする。距離に対するペースの概念をちょっとずつ壊していっている最中です」。

 昨年12月は、3年8か月ぶりに1万メートルに参戦。21年に出した自己ベストを1分以上更新する日本歴代7位の30分54秒40をマークして手応えを得ると、今回は最大15キロまで引っ張るというマラソンのペースメーカーにも挑戦することになった。「今後スタミナを強化していく上で役立つのかなと思っています」と選手の後押しをしながら、自身の成長の糧にするつもりだ。「初マラソンは母と走りたい」といつかは挑戦する意欲もあり「今回15キロまず走ってみてどう感じるか。良い感覚が降りてきたらおもしろい」と思い描いた。

 東京世界陸上後もレースに出続け、長い休暇は取れていない。それでも「その時々でおいしい物を食べたり、きれいな景色を見たり、その瞬間瞬間で落ち着くなっていう部分はあります。今しかできないこと」と競技や長い海外生活を楽しめることも田中の強みの一つだ。「挑戦」と位置づける今季はアジア大会(9月、名古屋)複数種目の出場や、同時期の世界ロードランニング選手権(デンマーク)も「選ばれたらおもしろい」と様々な道を想像している。「どう転んでも自分自身が楽しめそうなシーズン。目の前のことを一つ一つ大事にしていくことが目標」。今シーズンも全力投球で、日本陸上界を盛り上げる。

 ◆田中 希実(たなか・のぞみ)1999年9月4日、兵庫・小野市生まれ。26歳。小野南中3年で全中1500メートル優勝。西脇工で全国高校総体3年連続入賞。18年U20世界陸上3000メートルで日本人初優勝。同大に進学。19年ドーハ世界陸上で5000メートルに出場し、21年東京五輪は1500メートル8位入賞。22年オレゴン世界陸上は800メートル、1500メートル、5000メートルの3種目で出場。23年ブダペスト世界陸上は5000メートル8位入賞。24年パリ五輪、25年東京世界陸上は共に1500メートル、5000メートルで出場した。家族は両親と妹。153センチ。