興国“三度目の正直”で悲願の都大路 経験重ね知った「駅伝の鉄則」

引用元:毎日新聞
興国“三度目の正直”で悲願の都大路 経験重ね知った「駅伝の鉄則」

 三度目の正直だった。興国が群雄割拠の大阪府予選を制し、初めて都大路の切符を獲得した。

 11月1日の大阪府予選、大阪市のヤンマースタジアム長居のゲートからトラックにアンカーの松本敬太(3年)が入ってくる姿が目に入った瞬間、鈴木直監督は手で顔を覆い、涙した。日体大出身の鈴木監督は2003年に興国に赴任し、本格的に駅伝に取り組んで23年目となる。ようやく悲願を果たし、選手らに胴上げされた。

 以前の大阪府予選は、清風の「1強」で、1978年から31年連続で優勝していた。鈴木監督自身も清風の主将として98年の全国高校駅伝に出場した経験を持つ。ところが、09年に関大北陽が清風を破ると、関西創価や大阪、大阪桐蔭も含め、毎年のように優勝校が変わるようになった。

 興国は、これまで全国大会に手が届きかけたことが2回あった。

 1回目は10年、大阪府内の実績のある選手が集まり、後続と28秒差のトップで最終7区にたすきが渡った。しかし、途中で沿道で応援していた人から電話が入った。「真っ青な顔をして走っているぞ」。アンカーの選手はプレッシャーから本来の力を出せず、逆転負けした。鈴木監督は「選手の性格を把握した上で区間配置することが駅伝の鉄則だと知った。自分自身の経験値が少なかった」と振り返る。

 2回目は、学校の意向で駅伝のために留学生が入学して間もない、17年のことだ。留学生が府予選の直前に足の痛みを訴えたが、4区に起用した。3区までトップでたすきをつないでいたが、留学生がレース中に疲労骨折して途中棄権となった。オープン参加扱いとなった5区以降の選手も各区間で上位のタイムをマークしたことで、留学生に頼らずとも勝てると考えるようになった。

 24年から留学生の起用が最短3キロ区間に制限され、より日本選手の比重が高くなった。主将の阪本圭一郎(3年)が「留学生に頼り切らず、日本選手と留学生の力で勝つ」と臨んだ今年の府予選。優勝の立役者となったのは、高校3年間で急成長を遂げた1区の阪本とアンカーの松本だった。鈴木監督は「阪本は主将としてしんどい役割でも責任感を持って引っ張ってきた。松本はこつこつ取り組み、練習でも失敗しないスピードランナー」とたたえた。

 鈴木監督が過去の経験を糧に、一人一人と対話して選手を知り、育てた末にたどり着いた初の都大路の舞台だ。目標について、阪本は「大阪高校最高記録を出したい」と掲げる。15年に関大北陽が記録した2時間6分12秒の更新を目指し、たすきをつなぐ。【荻野公一】

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 男子第76回、女子第37回全国高校駅伝競争大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)は21日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に男子が7区間42・195㌔、女子が5区間21・0975㌔のコースで争われる。都大路を駆ける今大会注目の選手やチームを紹介する。