前日本記録保持者の鈴木健吾(横浜市陸協)がプロ宣言をして初めてのフルマラソンに挑む。「限られたチャンスにまっすぐ向き合いたい」。そう決意して昨年10月、所属先の富士通を飛び出した。厳しい環境に身を置き「マラソンを突き詰めたい」。約5年間、日本記録保持者の座に居ながら、まだ出たことのない五輪の舞台への渇望が決断の原動力だった。
30歳、年齢を考えれば、残された時間はそう長くはない。実業団選手は安定はしているが、駅伝も走らなければならない。マラソンだけに集中できる環境がほしかった。
独立し、一人で走り始めてしばらくして自らの日本記録を塗りかえられた。昨年12月、大迫傑(リーニン)がバレンシア・マラソンで自身の記録をわずか1秒上回ったのだ。もちろん過去の栄光にすがる気は毛頭ない。それでも「シンプルに悔しい」。そして、気づいた。「まだまだ向上心があるんだな」
1月11日には前哨戦となるヒューストン・ハーフで1時間0分56秒の自己記録をマーク。その後、「前から行ってみたかった」という高地合宿の聖地ともいえる米・ボルダーを訪れ、大迫の練習を見学する機会にも恵まれた。「大迫さんはレベルが高い。いい経験をさせてもらった」。東京マラソンには大迫もエントリーした。新旧日本記録保持者の対決とあって日本記録更新への期待は膨らむ。「たとえ届かなくても近いタイムで走れば次につながる」
近年はけがに苦しんだ。2年ぶりの東京マラソンは2028年ロサンゼルス五輪への転換点にする。(石原颯)
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ロス五輪につながる東京マラソンは3月1日に号砲を迎える。2年半後に迫る世界の大舞台で活躍が期待される選手に注目する。
■鈴木健吾
すずき・けんご 1995年6月11日生まれ。愛媛県宇和島市出身。県立宇和島東高から神奈川大を経て、2018年富士通入社。21年2月のびわ湖毎日マラソンを2時間4分56秒の日本新記録で制した。昨年10月に独立。妻は女子マラソンで五輪2大会出場の一山麻緒さん。
鈴木健吾「マラソン突き詰める」と実業団飛び出し独立 プロとして初の42・195キロ 東京マラソン3月1日号砲
引用元:産経新聞


