憧れ続けた先輩とのラストラン…記者にとっても勇気づけられた先輩、出会いはちょうど10年前

引用元:中日スポーツ
憧れ続けた先輩とのラストラン…記者にとっても勇気づけられた先輩、出会いはちょうど10年前

◇記者コラム「Free Talking」

 笑顔のラストランに、胸がいっぱいになった。トヨタ紡織の下史典さん(29)が、15日の「美し国三重市町対抗駅伝」で現役最後のレースを終えた。故郷の亀山市のアンカーを務め、総合5位。笑顔でゴールテープを切り、コースへ一礼する姿が印象的だった。

 中学時代から9度も出場した思い出の駅伝だ。「やめるとしたら、ここで最後にしようと決めていた。悔いなく出し切れた」。区間2位の快走で、区間賞は同じく今シーズン限りの現役引退を発表した富士通の中村匠吾(33)。下さんにとっては伊賀白鳳高(旧上野工高)、駒大、富士通と背中を追い続けた先輩だ。「ストイックで、見本にしたいけどできない。本当にあこがれ」という先輩と最後に同じレースを走れた。

 そういう下さんも、私にはストイックに競技に向き合うランナーに見えていた。出会いはちょうど10年前。中日新聞社に勤める今ではなじみのある三重弁も、関東出身の私にとっては新鮮だった。学生時代は「駒大スポーツ」の記者として、1学年先輩の下さんには何度も取材をさせてもらった。初めての取材後、友人と「マイルドな関西弁だね」と話した当時がなつかしい。

 高校3年時は全国高校駅伝でエースが集う1区の区間賞。世代のトップ選手と注目されて駒大に進んだ。ここ数年は毎年、箱根駅伝の優勝候補に挙がる駒大だが、下さんの在籍時はシード落ちも経験。3年時は総合12位で、4年時は予選会から本戦4位まではい上がった。苦しい時期を支えた主力選手の一人だった。

 新卒で富士通に入社したが「毎年、いつやめよう…」と、もがきながら競技を続けていたことを明かしてくれた。それでも、社会人4年目の2022年にトヨタ紡織へ移籍し、振り返ると7年。23年には大学時代に記録した1万メートルの自己記録を7年ぶりに更新した。続けたからこそ味わえた喜びもあった。何より、大好きな故郷の人たちからの声援に何度も励まされたという。「帰ると声をかけてもらい、走る度に続けてよかったと思えた」

 私はそんな下さんに奮い立たせてもらった立場だ。アマチュア野球の担当記者として、主に学生の野球選手に向き合う日々。頑張る先輩の姿を見て、頑張れた。ここまで競技を続けてくれて、ありがとうございます。(アマチュア野球担当・石曽根和花)