来年元日に群馬県で開かれる「第70回全日本実業団対抗駅伝(ニューイヤー駅伝)」に、大阪府警陸上部が40チーム中唯一の公務員チームとして出場する。大阪・関西万博などの影響で練習時間の確保にも苦心したが、アンカーの逆転劇で2年ぶり12回目の出場を決めた。過酷な状況でも妥協を許されない警察官の使命感が培った「逆境での強さ」を武器に、国内最高峰の大会に挑む。
11月に和歌山県で開催された関西地区の予選。最終7区(12・8キロ)の大類駿(おおるいしゅん)巡査(23)にたすきが渡った時点で、ニューイヤー駅伝出場は崖っぷちだった。
5位以内が絶対条件だが、この時点で前を行くNTT西日本とは1分4秒差の6位。NTT西のアンカー、強豪・早稲田大で主将を務めた伊藤大志選手(22)に対する大類巡査は箱根駅伝常連の帝京大出身とはいえ、4年間補欠だった。
学生時代の実績に差はあるが、大類巡査には警察官として厳しい訓練を耐えてきた自負がある。「絶対にあきらめない。行くしかない」。残り1キロで背中を捉えると、ラストスパートで突き放して5位をつかみ取った。
府警陸上部の部員は12人で、いずれも第1機動隊に所属する。大規模イベントでの警備や災害対応を担い、業務の合間に練習を重ねる。
特に今年は4~10月の大阪・関西万博を筆頭に、参院選(7月)や阪神タイガースのリーグ優勝(9月)などが続いた「警備イヤー」で、例年以上に練習時間の確保が難しかった。中には自宅から数十キロ走って出勤する部員もいた。
警察官ゆえのトラブルも生じる。逆転劇を演じた大類巡査は実は3月に剣道の訓練中に足の指を骨折。長期間走ることができなかった。さらに、予選直前に体調不良者が続出し、急遽(きゅうきょ)メンバー変更を余儀なくされた。
万全とはいえない状態で臨んだが、3区(10・87キロ)の大坂祐輝巡査長(27)は「むしろトラブルやアクシデントがあったほうが戦績は良い」と動じなかった。3区には箱根駅伝の区間賞獲得者を含む実力者が名を連ねたが、大坂巡査長は区間3位、府警陸上部の歴代最速タイムで駆け抜けた。
自信には根拠がある。直近では令和3年と5年の予選で翌年1月のニューイヤー駅伝出場を決めたが、3年は新型コロナウイルス禍。5年は広島で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が催された影響で、今年と同じく十分に練習時間を確保できなかった。
早稲田元主将を帝京元補欠が追い抜きつかんだニューイヤー駅伝、逆転ポリスの果敢な挑戦
引用元:産経新聞


