「守るものがなく走るのが楽しい」初マラソン女子日本最高の矢田みくに 快記録生んだ世界陸上での挫折と中学の感覚【大阪国際女子マラソン】

「守るものがなく走るのが楽しい」初マラソン女子日本最高の矢田みくに 快記録生んだ世界陸上での挫折と中学の感覚【大阪国際女子マラソン】

 ◆大阪国際女子マラソン(25日、大阪・ヤンマースタジアム長居発着)

 残り3キロあたりで、矢田みくに(エディオン)は頭の中で計算した。

 「(2時間)20分を本当に切れるかも」。優勝したステラ・チェサン(ウガンダ)には離されたが、連覇していたウォルケネシュ・エデサ(エチオピア)らと抜きつ抜かれつ。初マラソンでの表彰台は惜しくも1秒差で逃したものの「自分でもびっくりした」という2時間19分57秒で日本人トップの4位。一躍マラソン界のニューヒロインとなった。

 スタート時は気温4・6度で、終盤には向かい風も。厳しい条件下で、矢田は空想の背中を追った。思い浮かべたのは、昨秋の世界選手権女子マラソンに出場した、尊敬する安藤友香(しまむら)。マラソン練習で一緒に走り、上りや下りの走り方を学ぶ機会があり「安藤さんが前にいると思って走った」と明かす。

 ペースメーカーが抜けた30キロ付近から先頭に立ち、2時間19分を切る自己記録を持つアフリカ勢3人とのデッドヒート。苦しくなったら「顔から脱力」を意識して時に笑顔を浮かべ、安藤の持つ初マラソン日本最高を1分39秒も縮めてみせた。

 熊本市出身でルーテル学院高からトラックで活躍し、デンソーを経てエディオンに進んだ26歳。しかし昨秋の世界選手権1万メートルは20位に終わり「その時の話をすると今でも涙が出る。自分の当たり前を取っ払うことが足りない」と挫折した。

 「守るものがなく走るのが楽しい」と力合中(同市)時代の感覚を思い出し「自分はどれだけマラソンができる体なのか」と未知の距離に挑戦。その先でロサンゼルス五輪へつながる来年のMGC出場権を獲得した矢田は「初心を忘れず、ロスに向かって練習していきたい」と切り開いた道を突き進む。(吉川学)

【OTTO】

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