仙台育英の私費留学生・簡子傑が初の都大路へ 「台湾を背負う思い」

引用元:毎日新聞
仙台育英の私費留学生・簡子傑が初の都大路へ 「台湾を背負う思い」

 長距離選手として力を付けるため、海を渡った。台湾からの留学生、仙台育英(宮城)の簡子傑(かん・しけつ)は3年生でようやく全国高校駅伝を走るチャンスをつかんだ。「台湾を背負う思いがある。アジアの留学生でも高校駅伝で走れるということを伝えたい」と強い思いで臨む。

 母は世界選手権の女子マラソンに出場した経験を持ち、父は陸上のコーチという陸上一家に生まれた。

 中学1年から陸上を始め、父の指導を受けると、非凡な才能で約半年後に全国大会の出場を果たした。「もっと良いタイムを出したい。メダルを取りたい」と向上心が芽生え、1500メートルや5000メートルで台湾の中学記録をマークした。

 よりレベルの高い環境を求めたが、台湾はオリンピックや世界選手権の長距離種目で目立った成績を残したことがない。「まずはアジア(の他国のレベル)に追いつけるぐらいの力を持ちたい」。目を向けたのが、駅伝やマラソンが盛んな日本だった。

 箱根駅伝は台湾でも人気だ。簡は両親から教えてもらい、インターネットで視聴するようになった。「駅伝を見ていると興奮し、やる気につながった」という。

 自ら日本の高校を探し、全国高校駅伝の男子で8回の優勝を誇る強豪、仙台育英への留学を決断した。

 仙台育英は、1992年の全国高校駅伝で史上初めてケニア出身の留学生を起用。翌93年も留学生の快走で、男女同時に初優勝を果たした。以降、ケニア出身の留学生の起用が各校に広がった。

 全国高校駅伝では留学生の起用は1人までというルールがある。仙台育英は今もケニア出身の留学生がいるため、簡のようにアジアから私費留学で来た選手が駅伝のレギュラーになるための壁は高い。実際、1、2年時は出場がかなわなかった。

 それでも、簡は腐らず、努力を重ねた。1学年上のエリウッド・カヒガ(現・武蔵野学院大)にアドバイスをもらい、フォームなどを見直した。「自分はタイムを伸ばすために来た。ケニアからの留学生にも並ばないといけない」と自らに言い聞かせ、着実に力をつけた。1学年下のケニアからの留学生より結果を残し、簡がエントリー入りすることになった。

 11月30日の記録会では、男子5000メートルで13分48秒99の台湾新記録を樹立し、上り調子だ。台湾メディアからも「期待の星」として注目を浴びている。

 千葉裕司監督は「台湾記録保持者というプライドや競技をやらないといけないという思いは、日本人の選手たちも見習う部分がある」と評す。

 最初で最後となる都大路へ向け、簡は「良い位置で(たすきを)つなぎ、良い記録で走りたい」。3年間の集大成を快走で締めくくる覚悟だ。【高橋広之】

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 男子第76回、女子第37回全国高校駅伝競争大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)は21日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に男子が7区間42・195㌔、女子が5区間21・0975㌔のコースで争われる。都大路を駆ける今大会注目の選手やチームを紹介する。