31歳で箱根を走った今井先生率いる埼玉・藤中が全国中学駅伝女子5位入賞「生徒の力は無限大です」

引用元:スポーツ報知
31歳で箱根を走った今井先生率いる埼玉・藤中が全国中学駅伝女子5位入賞「生徒の力は無限大です」

 全国中学校駅伝(男子の部6区間18キロ、女子の部5区間12キロ)が14日、滋賀・野洲市の希望が丘文化公園で行われ、女子は岡山市立京山中が42分7秒で驚異の3連覇を果たした。17秒差の2位は岩手・盛岡市立黒石野中。3位は京都・八幡市立男山三中、4位は熊本・宇城市立松橋中だった。

 男子は群馬・前橋市立木瀬中が57分1秒で優勝した。37秒差の2位は宮崎市立大淀中。3位は神奈川・伊勢原市立成瀬中、4位は千葉・流山市立常盤松中、5位は長野・川中島ジュニアランニングクラブだった。

 昨年、男子の部で全国優勝した埼玉・鶴ケ島市立藤中は今年、女子の部で5位と健闘した。藤中を率いるのは、駿河台大OBの今井隆生先生(35)。2022年の第98回箱根駅伝に初出場した駿河台大の一員として当時31歳で4区を走った経験を持つ。2年連続で男女チームを全国大会での活躍に導いた。

 「目標は6位でしたが、1区から5区まで想定通り、あるいは、想定以上の走りをしてくれて5位になりました。出場した選手、控えの選手、全員が頑張りました」と今井先生は感慨深い表情で話した。

 昨年の今大会、女子チームは男子チームの応援のため、埼玉から滋賀県まで遠征した。この日、4区で区間4位と好走し、チームを9位から7位に引き上げたキャプテンの水村彩花(3年)は「昨年、全国大会を目の前で見て『次は絶対にここで走ろう』とみんなで誓いました。それに、全国大会の雰囲気を知っていたことで、今日は自分たちの力を発揮できました。入賞できて、とてもうれしいです」と笑顔で話した。

 今井先生は29歳だった20年4月に「もっといい先生になりたい」という思いで教員の「自己啓発等休業」を活用し、駿河台大心理学部3年に編入学した。同時に東京・大泉高時代からの夢だった箱根駅伝出場を追いかけ、駅伝部に入部。1年目は予選会で敗退したが、ラストチャンスの2年目に駿河台大の初出場に貢献した。22年1月の本戦では4区に出走。区間最下位に終わったが、タスキを埼玉・越生中教師時代の教え子でもある5区の永井竜二(当時3年)に託し、大きな話題となった。

 22年4月、教師に復帰。飯能市立南高麗(こま)中学校を経て、23年4月に藤中に異動した。今井先生の教育・指導方針は「過去の自分、昨日の自分を超えよう」。それは自分自身に対しても同じ。もっといい先生になるため、常に生徒と真剣に向き合っている。

 水村キャプテンは「今井先生はちょっと変わっていると思います。2年前、1年生だった頃、私たちのタイムは小学生くらい遅かったですけど、今井先生は『2年後、3年生になった時は滋賀(全国大会)に行くよ!』と言っていました。本当に、そうなりました」と楽しそうに話した。その隣で今井先生は「生徒の力は無限大です」と目を潤ませて話した。

 31歳にして箱根路を熱く走った今井先生は、今時、珍しい熱血先生として、生徒とともに走り続けている。

 ◇埼玉県鶴ヶ島市立藤(ふじ)中学校 1979年4月、開校。所在地は鶴ヶ島市藤金。各学年5クラス、特別支援2クラスの中規模校。学校教育目標は「ともに学び、未来を拓(ひら)く たくましい生徒の育成」。主な陸上部OBは名倉雅弥(坂戸西高時代の86年アジア大会男子200メートル銅メダル)、伊地知賢造(国学院大時代の21年全日本大学駅伝8区区間賞、現ヤクルト)。

 ◇今井 隆生(いまい・たかお)1990年8月31日、東京・保谷市(現・西東京市)生まれ。35歳。大泉高では陸上部。2009年に日体大入学後、トライアスロンに転向。13年に卒業し、トライアスロン実業団ケンズへ。16年に引退し、その後、埼玉県の中学校教員に採用された。20年4月「自己啓発等休業」を活用し、駿河台大心理学部3年に編入学。22年1月の箱根駅伝4区20位。同年4月に教員に復帰。自己ベスト記録は5000メートル14分11秒10、1万メートル29分26秒99、ハーフマラソン1時間4分11秒。マラソン2時間19分24秒。165センチ、52キロ。