3年前は長距離部員ゼロ…愛媛・宇和、都大路出場の裏に地域の支援

引用元:毎日新聞
3年前は長距離部員ゼロ…愛媛・宇和、都大路出場の裏に地域の支援

 21日に京都市で開かれる男子第76回、女子第37回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)に、愛媛県立宇和高校(同県西予市宇和町)の男子チームが出場する。都大路への切符を勝ち取った選手たちの力走の背景には、「母校を都大路に」という監督の熱い思いや、合同練習を通じて世代間で切磋琢磨(せっさたくま)し、地域ぐるみで選手たちを支える恵まれた環境もあった。

 同校男子チームは、県予選での全国大会出場は逃したものの、11月16日に徳島県鳴門市で開かれた四国大会で3位に入り、四国地区代表として11年ぶり5回目の都大路出場を決めた。チームを率いるのは教師歴約30年の和家哲也監督(54)。県立宇和島東高校(同県宇和島市)の監督時代には、マラソンの日本記録保持者の鈴木健吾選手を指導した経歴もある。

 母校でもある宇和高校に赴任したのは2022年。当時は陸上部員は6人しかおらず、長距離の部員はゼロと、都大路に挑戦できる状況ではなかった。

 元々、同校の地元は「駅伝が盛んな地域」(和家監督)だったという。それぞれの世代ごとで練習に励み大会を目指していた。そこで同年から和家監督の呼びかけで始まったのが、週1回の地域の人たちが集まる合同練習だった。当初は多い時で社会人らが10人ほど集まる小規模なものだったが、口コミなどで評判が広がり徐々に参加者も増えていった。

 今では毎週水曜日、宇和運動公園(西予市宇和町)に宇和高校の陸上部員のほか、中学生や仕事終わりの社会人らが多い日で70人ほど集まり、ともに汗を流している。和家監督は「社会人の先輩たちは子どもたちにとって『生きた教材』。安定したペースで引っ張ってくれる大人たちが練習の流れを作り、目標にもなる」とし、世代間で良い相乗効果を生み出しているという。

 合同練習は、宇和高校が都大路を目指す上での課題となっていた部員不足の解消にも一役買った。合同練習で走る楽しさを知った地元の中学生たちが、宇和高校へ入学後に陸上部で活躍してくれるようになった。今では、陸上部員は男女合わせて40人にまで増え、長距離の選手も増えたことで、男女とも単独チームで駅伝大会に参加できるようになった。

 また、部員たちと地域の人たちとの交流も盛んになり、地域ぐるみで選手たちを応援する機運の高まりにもつながった。寮には地域の人たちから野菜や米などの差し入れも多く寄せられ、大会へ応援に来てくれる人も多いという。

 監督として3度目の都大路挑戦となる和家監督は「(都大路出場は)地域のバックアップがあってのことで、学校の努力だけでは難しかった。選手たちには自分たちの力を出し切ってほしい」と話している。【目野創】