【箱根駅伝2026】國學院大学・青木瑠郁が覚醒した前田康弘監督の言葉「一度、プライドを捨てろ。勝つためのレースをしろ」

【箱根駅伝2026】國學院大学・青木瑠郁が覚醒した前田康弘監督の言葉「一度、プライドを捨てろ。勝つためのレースをしろ」

前編:國學院大が上尾ハーフで再び生み出した上昇気流

10月の出雲駅伝で圧巻の2連覇を達成したが、11月の全日本大学駅伝では不完全燃焼の4位。箱根駅伝の初優勝に照準を合わせる國學院大にとって、11月15日の上尾シティハーフマラソンは大きな意味を持つレースだった。本番のメンバーを絞り込む選考も兼ねていたが、それだけはなかった。

【ラストスパートにつなげた冷静な対応】

 箱根駅伝に出場する大学が多く集まる上尾シティハーフマラソン。例年どおり、中堅クラスから箱根登録メンバー当落選上の選手までがズラリと並ぶなか、國學院大のエース格である青木瑠郁(4年)は並々ならぬ思いでスタートラインに立っていた。全日本大学駅伝では期待を背負ってエース区間の7区で出走したが、レース中盤から差し込み(脇腹痛)に襲われ、まさかの区間9位。レース後は失意に暮れ、気持ちも沈み込んだという。あれから2週間――。箱根駅伝で勝つために何ができるのかをずっと考えるなか、前田康弘監督の言葉は胸に響いた。

「『一度、プライドを捨てろ。勝つためのレースをしろ』と」

 レース序盤は先頭集団の中団で走り、ライバル校の桑田駿介が前で引っ張る背中を後ろから見ていた。相手は駒澤大の主力とはいえ、2年生。4年生の意地はあったものの、それよりも勝つための走りに徹した。「自信のあるラスト勝負に持ち込む」と自らに言い聞かせ、ペースアップしたのは17km付近。桑田が負けじと食い下がってきても、冷静だった。

 終盤はデッドヒートを繰り広げる。残り600mで駒大の大八木弘明総監督の声掛けで一度前に出られたが、仕掛けどころはラスト400mと決めていた。渾身のスパートを切ったのは、フィニッシュ地点が見えてからである。

「さすがに、あそこで負けるわけにはいかなかったので。駒澤大の力を持っているランナーに勝てたのは大きかった。前田さんからも『上尾で勝てば、もう一度チームに流れを持ってくることができる』と言われていたんです。それが僕の役目でした」

 圧巻の勝利だった。出雲駅伝の1区では終盤にいち早く仕掛け、ラスト勝負に敗れて区間5位。伊勢路の失速を含め、ピリッとしなかった走りを払拭するような内容での優勝。ここまでレースにピークを合わせられなかったが、調子を落としていたわけではない。全日本大学駅伝の10日前も7区で区間賞を狙える49分台を出すくらいは走れていたという。

「全日本では練習してきたことが出せなかったのですが、ここで力を発揮できたのはよかったです。箱根へ向けて、レース勘がないまま臨むよりも、ロードでひとつ勝っておきたかったのもあります」