万全とはほど遠い状態だった。それでも、〝シン・山の神〟は最後まで崩れなかった。青学大の黒田朝日(4年)が1日、別府大分毎日マラソンで2時間7分3秒の3位。日本人2位に入り、2028年ロサンゼルス五輪代表選考会「マラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)」の出場権を獲得した。
レースは大分市高崎山うみたまご前をスタートし、ジェイリーススタジアムでフィニッシュする42・195キロ。優勝はエチオピアのゲタチョウ・マスレシャが2時間6分49秒で飾った。正月の箱根駅伝5区では、従来の区間記録を約2分更新する圧倒的な走りで「シン・山の神」の名を手にした黒田だが、その反動は大きかった。レース前から疲労残りを隠さず、「箱根を10とすれば今は5、6割」と自己分析。ピークはすでに過ぎていた。
それでもスタートラインに立ったのは、今大会を「勝負の場」ではなく「通過点」と捉えていたからだ。優勝だけを狙うレースではない。将来につながる42・195キロを、今の力でどう走り切るか。そのテーマを胸に刻んでいた。序盤は先頭集団の中で淡々と進み、無理に出ず下がらず、風向きや集団の動きを冷静に見極めながら自分のリズムを維持。33キロ過ぎ、海外勢が前に出る場面でも慌てることはなかった。「追い風で無理に乗ると、向かい風で一気に止まる」。描いていたシナリオ通りだった。
終盤、日本人トップ争いは青学大OBの吉田祐也(GMOインターネットグループ)との一騎打ちの様相を呈した。35キロ過ぎには一時前に出る場面もあったが、競技場に入ってからは足が止まった。「最後はマラソンの経験値の差」。敗因を冷静に受け止めた。それでも結果は揺るがない。2度目のフルマラソンで日本人2位、MGCの条件を確実にクリア。黒田は「レースが始まれば全集中だった」と振り返る。
レース後、青学大の原晋監督も「体調は6割。その6割をすべて出した。100点」と太鼓判を押した。無理をせず、崩れず、結果を残す――駅伝型ランナーの枠を超えつつある証しだった。卒業後はGMOインターネットグループに加入予定。ロス五輪については「狙えるものはしっかり狙っていきたい」と視線は世界へ向く。
一方で、「少し長めの休みをもらって、同期と卒業旅行に行きたい」とも語った。山で名を上げ、平地で道を切り開く。〝シン・山の神〟の物語は、まだ序章にすぎない。
【別大マラソン】〝シン・山の神〟黒田朝日「5、6割」でMGC ゴール後は卒業旅行宣言
引用元:東スポWEB


