◇記者コラム「Free Talking」
2、3日の箱根駅伝で3連覇を果たした青学大。勝負の分岐点となったのは、往路の4区だった。8位でタスキを受けた平松享祐(3年・中部大第一)は初出走ながら3人を抜き去る快走で、5位でエースの黒田朝日(4年・玉野光南)につないだ。仲間のアクシデントによる”代打出場”だったが、青学の層の厚さと一体感を示した。
昨年12月、同校の青山キャンパスで行われた壮行会。平松はある先輩の名を挙げた。2月に21歳の若さで亡くなった皆渡星七(みなわたり・せな)さん。2人には2年前の箱根で交わした誓いがあった。当時1年生の平松と、3年生の皆渡さんはともにメンバー入り。しかし、当日変更で出走はかなわず、補欠として総合優勝のメダルを手にした。「来年は一緒に箱根駅伝を走ろう」。固く約束し、同じ舞台を目指していた中での別れだった。
平松の記憶に刻まれているのは、先輩後輩関係なく、誰からも慕われる明るい皆渡さんの姿。寮生活の中、互いに自慢の料理を振る舞い合ったこともある。「皆渡さんはマーボー豆腐、僕はカルボナーラを作って。おいしかったです」。厳しい練習の合間にあった何げない思い出が、宝物となっている。
今大会、青学大の選手らは皆渡さんを思って、腕や脚に「★7」のマークをペンで入れた。平松は左肩を選んだ。「右肩の方がカメラに映りやすかったかもしれない。でも沿道のみなさんに見えやすいのは左肩だと思ったので」。皆渡さんも並走しているような感覚になりながら、箱根路を駆け抜けた。
前回チームは優勝したが、平松は「皆渡さんに会えなかったという意味では『あいたいね大作戦は』失敗に終わったかもしれない」と振り返る。自らの走りで勝利を手繰り寄せた今年の『輝け大作戦』は、確かな手応えがあった。「皆渡さんに向けても、チームとしても本当に大成功に終わった」
8日には、壮行会と同じ場所で、今度はメダルを胸に報告会の場に立った。その顔には、皆渡さんとの約束を果たした安堵(あんど)と、ひときわ大きな自信が満ちていた。 (一般スポーツ担当・広瀬美咲)
青山学院大「★7」マーク、4区・平松享祐が左肩に書いた“意味” 背景には亡き先輩と2年前の約束「一緒に箱根駅伝を走ろう」
引用元:中日スポーツ


