第102回東京箱根間往復大学駅伝競走、通称・箱根駅伝が1月2日、3日に開催されました。東京・大手町の読売新聞社前と神奈川箱根町・芦ノ湖間を往復する全10区間217.1kmで行われたレースは、青山学院大学が往路5時間18分08秒、復路5時間19分26秒、総合10時間37分34秒と、いずれも大会新記録を打ち立てて3年連続9度目の総合優勝を成し遂げました。
往路では久々に早稲田大学が箱根路を沸かせました。花の2区を3年連続で担った駅伝主将の山口智規選手(4年)は、自身が持つ2区の早稲田大学記録を大幅に更新する1時間5分47秒の好記録をマークし日本人トップの区間4位と快走。
4区では1年生の鈴木琉胤選手が区間記録にあと1秒と迫り、同区間日本人最高タイムを打ち立てて区間賞を獲得する力走を見せました。5区でも、本調子ではなかった"山の名探偵"こと工藤慎作選手(3年)が淡々と山上りに挑み一時は先頭に立ちました。残り1.5kmで青山学院大学の黒田朝日選手に逆転を許し、往路を2位で終えましたが、"強い早稲田の復活"をアピールしました。
復路では逆転優勝を目指したものの、結局、前回と同じ総合4位で大手町にフィニッシュ。「去年は、悔しさの中にちょっとうれしさもありましたが、今年は本当に悔しい4位です」と、花田勝彦駅伝監督はレースを振り返りました。
苦しい展開になった復路。気を吐いたのが9区を走った小平敦之選手(3年)でした。4位でタスキを受けた時点で前を走る中央大学とは2分近い差があり、後ろを振り向けば8秒差で順天堂大学が迫っていました。小平選手は「絶対に追いついてくるだろうなと思っていました」と追いすがる順天堂大を意識し、入りの1kmを2分34秒と最初から飛ばしました。それにもかかわらず順天堂大学9区の主将・石岡大侑選手(4年)のペースはそれ以上。小平選手は4kmを前に追いつかれると、しばらく並走した後に石岡選手に先行を許しました。
ただ小平選手は冷静でした。「こっちがハイペースで突っ込んだ分、(石岡選手は)それ以上のハイペースだったので、その分、後半にきつくなるだろうなと想像していました。なので、そんなに焦りはなかったです。(前に行かれたのは)権太坂の上りに入ったぐらいで、向こうが無理をしているなと感じていました。余裕を持った上で後半に勝負しようと考えていました」。するとその言葉通り、後半に盛り返した小平選手は、石岡選手を抜き返して再び4位に浮上。逆に46秒差を付けてアンカーの瀬間元輔選手(2年)につなぎました。
小平選手のタイムは1時間7分45秒。区間歴代4位の好記録で花田監督が設定した目標タイムより1分10秒も速いタイムでした。しかも前を行く中央大には51秒差に迫っていました。小平選手はそのタイムについて「ある程度は設定タイムよりも速く走れる自信はありました。(5kmを)14分50秒前後で押していけば、1時間8分30秒を切るぐらいまではいけるかなと。入りが速かった分、さらに記録を短縮できたのだと思います」と述べました。早稲田大学は7区、8区と区間二桁順位が続いていましたが、小平選手は区間2位。この力走で悪い流れを断ち切ってみせました。
小平選手は、系属校の早稲田実業高出身で、政治経済学部に通ういわゆる"一般組"です。これまではなかなか出番がなかったものの、秋に成長を遂げ、11月の全日本大学駅伝で5区7位とまずまずの走りを見せると、その2週間後の上尾ハーフマラソンで1時間2分28秒と好走し、箱根駅伝のメンバーを勝ち取りました。そして、初めての箱根駅伝でも見事な走りを見せました。
最終学年となる2026年、小平選手は112代目となる駅伝主将に就任することが1月4日に発表され、その日の早朝練習では、箱根駅伝を走れなかった選手たちを激励する小平"主将"の姿がありました。私生活では1年の冬頃から弁当を手作りし授業に持参するなど、チームのモットーである"自主性"を体現。2011年の第87回大会で早稲田大学が優勝した際に8区を走った北爪貴志さんが高校時代の恩師で、先生からの言葉を大事にし文武両道の生活を送っています。今回の箱根駅伝の前には「先生が優勝した時には『"一般組"の選手たちの気概がチームに及ぼす影響が大きかった』とおっしゃっていました。自分自身も"一般組"ならではの取り組む姿勢や地道に積み重ねるところをチームに示していければと思っています」と話していました。また「2011年に総合優勝したチームと比較すると、新チームは4年生の一般組であったり、1、2年生に力がある推薦組がいたりと、境遇が似ています。なので、しっかり早稲田らしさを体現するレース運びをして、青山学院大の4連覇を阻止したいと思っています」と意気込みを述べました。
花田監督は"圧倒的な個"の育成を掲げてチームを強化してきましたが、小平選手もまた個性が光る選手。16年ぶりの箱根総合優勝を目指し、"らしさ"全開でチームを牽引する姿に期待です。
【箱根駅伝】往路2位と期待を持たせた早稲田 苦戦した復路でも光ったのは9区2位の小平敦之 "一般組"から112代駅伝主将が誕生、来季へ希望をつなぐ
引用元:日テレNEWS NNN


