【箱根駅伝】青学大 往路3年連続V 「シン・山の神」黒田 異次元の走りでトップと3分24秒差逆転

【箱根駅伝】青学大 往路3年連続V 「シン・山の神」黒田 異次元の走りでトップと3分24秒差逆転

 ◇第102回東京箱根間往復大学駅伝・往路(2026年1月2日 東京・大手町~箱根・芦ノ湖=5区間107・5キロ)

 “シン・山の神”降臨だ。総合3連覇を狙う青学大が、大会新記録の5時間18分8秒で3年連続8度目の往路優勝を果たした。5位でたすきを受けた山上り5区で黒田朝日(4年)が区間記録を1分55秒も大幅更新する1時間7分16秒の異次元の力走を見せ、トップと3分24秒差からの大逆転に成功。当日変更で絶対的エースを5区に送り込んだ原晋監督(58)の采配も的中した。復路はきょう3日午前8時に芦ノ湖をスタートする。

 正月の芦ノ湖に“朝日”が昇った。大逆転劇を演じた黒田は優勝インタビューで高らかに宣言した。「声を大にして言いたい。僕がシン・山の神です!」。数々の神が誕生した山上りに新たな歴史が加わった。4代目でなく「シン」と名乗った理由は「新しい神でもあり、真の山の神でもあるので」と笑った。

 記録にも記憶にも残る激走だった。青学大は1区16位からスタート。5位で受けた黒田とトップ中大との差は3分24秒。序盤から突っ込んで駆け上がった。12キロ過ぎの1キロは平地とほぼ同じ3分4秒で通過。14キロ手前で2位に浮上し、15キロ過ぎの国道1号最高地点(標高874メートル)でトップの早大・工藤の背中を視界に捉えた。

 「自分が何位か分からなかった」と振り返り、冷静に計算すると「(工藤を)抜いたら1位じゃない?ここまで来たら優勝するしかない」。我に返り、ギアをさらに上げた。腕時計はあえてつけず、自らの感覚を大事にするスタイルだが、ラスト下り5キロは限界を超えていた。「本当に記憶がないくらい追い込んだ」。19・2キロで工藤も抜き去り、大逆転劇を完結させた。

 原監督は「箱根駅伝の歴史上、最強のランナー」と絶賛した。頭角を現した2年時から学生3大駅伝は皆勤。全て主要区間で起用され、区間賞6度、区間新記録5度は異例だ。マラソンでも日本学生最高記録の2時間6分5秒をマーク。1年時に山の適性も見いだされており、昨年区間賞の「若乃神」こと若林宏樹が卒業し、満を持しての5区抜てきで新たな才能を開花させた。

 主将として絶対に勝ちたい理由があった。昨年2月、同期の皆渡星七(みなわたり・せな)さんが悪性リンパ腫で亡くなった。黒田は右太腿に「★7」と記した。ともに箱根路を走るはずだった亡き友の思いも背負って駆け抜けた。

 1区16位からの往路優勝は20チーム以上の出場が定着した07年以降では07年順大の14位からを超える最大の逆転。今季のスローガン「王者の挑戦~俺が青学を勝たせる~」を主将が体現し、復路へたすきをつないだ。さあ、2度目の3連覇へ――。大手町で大団円が待っている。

 ◇黒田 朝日(くろだ・あさひ)2004年(平16)3月10日生まれ、岡山市出身の21歳。玉野光南高3年時に全国総体3000メートル障害2位。22年に青学大入学。箱根駅伝2区で24年区間賞、25年は区間3位。昨年2月の大阪マラソンで2時間6分5秒の学生記録。1万メートルの自己ベストは27分37秒62。卒業後はGMOインターネットグループ入社予定。父・将由さんは法大で箱根駅伝経験者。1メートル66、52キロ。