円谷幸吉さんも山の神も福島出身 「駅伝王国」育成実る 学法石川V

引用元:毎日新聞
円谷幸吉さんも山の神も福島出身 「駅伝王国」育成実る 学法石川V

 男子第76回全国高校駅伝競走大会は学法石川(福島)が悲願の初優勝を果たした。「北の駅伝王国」と呼ばれた福島だが、男子の都大路制覇は初。県を挙げての人材育成が実った。

 「福島県は中学生の強化が素晴らしい。必然的に高校のレベルも上がり、今回の結果にも結び付いた」と学法石川の松田和宏監督(51)は感謝を口にした。

 この日も快走を見せた増子陽太選手(3年)と栗村凌選手(同)の「ダブルエース」は福島県出身だ。増子選手は鏡石町立鏡石中時代に3000メートルの日本中学記録(当時)を更新し世代のトップとして注目を集め、栗村選手は会津若松市立第四中時代に全国中学校体育大会1500メートルで2位に入ったスピードランナー。

 女子の主将を務めた湯田和未(なごみ)選手(3年)も、会津若松市立第一中で全国中学校駅伝で14人抜きの快走を見せて最優秀選手賞に選ばれるなど注目された「黄金世代」がそろって学法石川に進んだ。

 松田監督は、チーム全体や選手個々の目標と規律を明確に持たせた上で自律性を尊重し、選手を自主的に伸ばす指導法で逸材を着実に成長させた。他県からも選手たちが門をたたく。

 福島県は、古くは1964年東京オリンピック男子マラソン銅メダルの円谷幸吉さん(40~68年)を出すなど陸上が盛んな土地柄だ。裏磐梯や猪苗代など練習環境にも恵まれ、合同合宿など指導者同士の交流も頻繁に行われている。その象徴が89年に始まった、市町村対抗で県内を縦断する「ふくしま駅伝」だ。

 中学生から社会人までの男女選手が16区間96・3キロで、古里のたすきをつなぐ。東日本大震災が発生した2011年は開催が危ぶまれたが、選手がそろわなかった双葉町などもオープン参加して開催にこぎ着けた。いわき市出身で「山の神」と称された当時東洋大の柏原竜二さん(36)も駆け付け県民を勇気付けた。

 福島陸上競技協会の根本寿実会長(聖光学院高教頭)は「かつての選手が指導者として県内で活躍し、優秀な選手を育てる好循環が生まれ、学法石川がその受け皿になった。駅伝が県民に『勇気を与えている』と言われるが、逆に選手たちが県民から勇気をもらっている相乗効果もある」と評する。

 東京電力福島第1原発事故の直後は屋外での練習もままならなかった福島県。震災から14年半超、県ぐるみで育てた豊富な人材を結集した学法石川が、県民の願いを乗せたたすきをつなぎ、日本一のフィニッシュテープを切った。【錦織祐一、岡崎英遠】