「42・195キロがどんなものかを知る」。1年時から東京箱根間往復大学駅伝の山上り区間5区を任され、「山の名探偵」の異名を持つ工藤慎作(早大)が初マラソンに挑む。「良くも悪くも未知数。きつさも知らず、いい意味で鈍感に走れるので楽しみ」と胸を躍らせる。
中学で卓球部に入る予定だったが、活動場所が分からず陸上部へ。「練習した分だけ返ってくる」と魅了された。全国高校駅伝でも活躍し、大学入学前に「日本人が世界と勝負するならマラソン」と決意。監督には、2028年ロサンゼルス五輪の代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」出場権を在学中に「取りたい」と宣言した。
自身を「走力をつけた陸上オタク」と表現する。早大ではスポーツ科学部で運動生理学を勉強。「ハーフマラソンの走力があれば、フルも対応できる」とハーフを念頭にした練習でスピードや安定したペースを刻む強みを磨き、昨年2月の香川・丸亀国際ハーフで1時間0分6秒の自己記録をマーク。駅伝の好走にもつなげている。
忘れられないレースがある。1年時の全日本大学駅伝で4区13位に沈み「悔しさを通り越して絶望した」。得意のロードレースで「もう悔しい思いをしたくない」という決意が成長のきっかけになった。尊敬するランナーは、24年に亡くなった世界記録保持者のケルビン・キプタム(ケニア)。トラック競技で実績がなくても活躍した姿が自身のスタイルと重なり、励みになった。
息抜きは税理士試験の会計科目を解くこと。「陸上は正解のないことの積み重ね。正解がある方が気持ち的に楽」と笑う。そんな山の名探偵が、東京での自身の可能性を解き明かす。「ハイレベルなレースを肌で感じ、何かしら吸収したい。そこにMGCがついてくれば理想です」(田中一毅)
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くどう・しんさく
2004年11月10日、千葉県出身。八千代松陰高から23年に早大に入学し、1年時から大学三大駅伝で活躍する。25年の世界ユニバーシティー夏季大会男子ハーフマラソンで優勝。世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」での活躍も目標の一つ。
山の名探偵「いい意味で鈍感に」 未知の距離に挑む 工藤慎作(早大) 東京マラソン3月1日号砲㊦
引用元:産経新聞

