【箱根駅伝】往路17位からのシード権『世界一諦めの悪いチーム』帝京大の真骨頂

引用元:日テレNEWS NNN
【箱根駅伝】往路17位からのシード権『世界一諦めの悪いチーム』帝京大の真骨頂

◇第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(2日往路、3日復路)

東京・大手町の読売新聞社前と神奈川箱根町・芦ノ湖間を往復する全10区間217.1kmで行われたレースは、青山学院大学が3年連続9度目の総合優勝を成し遂げました。往路5時間18分08秒、復路5時間19分26秒、総合10時間37分34秒と、いずれも大会新記録でした。

上位10校には翌年の大会のシード権が与えられますが、熾烈を極めたシード権争いを大いに沸かせたのが帝京大学でした。

前回10位の帝京大学は、今大会で"5強崩し"を目標に掲げるほど戦力が充実し、台風の目になるとも目されていました。しかし、序盤からまさかの展開。1区に原悠太選手、2区に楠岡由浩選手、3区に島田晃希選手と、チーム内の実力者を並べましたが、3区を終えて20位と出遅れてしまいました。「前半にこの3人を並べるということは、上位で勝負するってことです」と中野孝行監督が言うように、序盤で好位置に付ける戦略でしたが、そのもくろみが外れました。1区の原選手は先頭集団についていきましたが、ハイペースがたたり「中盤から粘りきれませんでした」と区間19位。2区の楠岡選手は、以前から足底に不安があり「6kmぐらいで痛みが出た」と言い、力を発揮できず区間最下位。2区を終えてシード権ラインの10位には7分以上後れをとっていました。

この絶望的な状況にも『世界一諦めの悪いチームへ』をスローガンに掲げる帝京大学は、シード権を諦めてはおらず、3区から逆襲を開始します。

「最初は、車(関係車両)も何も見えなかったので、とりあえず見えるところまで行こうと思って、最初から突っ込みました」。3区の島田選手は、最下位からのスタートでも積極的にレースを展開。順位を上げることはできませんでしたが、区間5位と好走し、19位に26秒差と前が見える位置まで盛り返しました。4区の谷口颯太選手も区間7位で続き1つ順位を上げると、5区の浅川侑大選手も2つ順位を上げて往路を17位で終えました。

シード権までは4分15秒ありましたが、「うちは復路も、往路と同じような戦力ですし、巻き返ししようと思います。全然諦めていません」と、中野監督が言うように、指揮官も選手たちも決して下を向くことはありませんでした。その言葉通り、6区の廣田陸選手が区間6位で1人を抜き、7区を任された主将の柴戸遼太選手も区間6位で14位に浮上すると、初出場の松井一選手が8区4位と好走し12位まで押し上げます。

そして、9区の尾崎仁哉選手も区間4位で走り切り、シード権まで13秒差の11位と、ついにシード権が見えるところまで来ました。アンカーを任されたのは4年目にして初出場の鎗田大輝選手でした。「シード権まで13秒っていうのもあって少し不安はあったんですけど、4年生たちだったり他のメンバーが頑張ってきてくれたので、彼らと一緒に練習をしてきて自信はありました。もう"やるしかない"と思ってスタートしました」と鎗田選手。

走行順では後ろにいる10位中央学院大とは13秒差、9位の日大とも16秒の僅差で、見えない背中を追って鎗田選手はレースを進めました。「新八ツ山橋(13.3km)を越えて、シードラインに入ったと聞いて、これは大丈夫だなと思いましたが、まだまだ余裕がありましたし、(10区の)帝京大記録を狙っていたので、そこを目標に淡々と走っていました」。シード権圏内に入ってもペースを緩めず、大手町へは走行順で8番目に帰ってきました。

復路一斉スタートだったため順位はすぐに確定しませんでしたが、鎗田選手の区間5位の力走もあって、帝京大学は総合9位。見事に往路17位から巻き返し、シード権を死守しました。

過去に、第87回大会では、青山学院大学が往路16位から総合9位に浮上しシード権を獲得していますが、最大7分超の差を跳ね返し、往路17位からのシード権は史上最大の逆襲劇となりました。また、復路順位は5位となり、片道だけは"5強崩し"を果たしました。

「シード権を獲れたことは嬉しかったです。復路でこれだけ戦えたっていうのはチームとしての収穫がありましたけど、やっぱり今年のチームは、ここにいるチームではなかったなって思うので、そこは悔しいです。走った選手だけじゃなくて、それ以外のみんなも諦めずに、復路に挑んでくれた。1年生の時と比べて、チームが本当に強くなったなと思いました」。主将の柴戸選手は、少しだけ悔しさを滲ませつつも、最後まで諦めなかったチームメイトの奮闘を称えていました。