「彼女には日本のエースとして…」中田久美監督が成長を感じ取った21歳日本代表アタッカーの「4センチ」【バレーボールSVリーグ女子・SAGA久光スプリングス】

「彼女には日本のエースとして…」中田久美監督が成長を感じ取った21歳日本代表アタッカーの「4センチ」【バレーボールSVリーグ女子・SAGA久光スプリングス】

 ◆バレーボール・大同生命SVリーグ女子 SAGA久光スプリングス3―0岡山シーガルズ(28日、SAGAアリーナ)

 SAGA久光が2025年最後の試合を白星で飾った。岡山に25―18、27―25、25―23で快勝。後衛での好守に加えて、51・9%のアタック決定率(27打数14得点)で得点源の一人となった女子日本代表アタッカーの北窓絢音(21)が今季3度目のPOM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)に輝いた。

 通算16勝4敗としたSAGA久光の順位は2位のままで、同3勝17敗の岡山も12位のまま。SAGA久光の26年は1月10、11両日に兵庫県の西宮市立中央体育館で行われる、天皇杯・皇后杯全日本選手権覇者の大阪マーヴェラス(大阪MV)との2連戦からスタートする。(記録は速報値)

 飛躍の「2025年」を笑顔で締めくくった。北窓だった。第1セットのチーム1点目を自らのスパイクで挙げると、勢いに乗ってコートで躍動。アタック決定率は50%を超え、チーム最多の39本を受けたサーブレシーブでは安定したパスをセッターに供給した。サーブでも岡山のレシーブ陣形を崩し、連続得点を呼び込んだ。

 とりわけ印象的だったのが高い打点から打ち下ろす強打だった。北窓が明かした。「練習の中でジャンプ力を出すための踏み込みを意識して…少しずつ身についてきています。トレーナーさんからの助言で、最後に踏み込む右足と左足の幅を狭くしています」。強く踏み込むことで、より高く跳べるようになり、結果的にアタックの選択肢が増え、視野も広がったという。

 試合後の会見では「(最高到達点が)4センチアップして、3メートル4センチになりました。アヤさんに1センチだけ勝ちました!」と、横に座っていた身長185センチの荒木彩花(24)の顔をチラリと見て、いたずらっぽく笑った。「4センチと聞くと、あんまりかなと思うじゃないですか。でも、4センチって、すごく差があるんです。試合中って、最高到達点から打つことって、なかなかないんですが、心なしか視界が…と思います!」と快活な声で説明した。

 攻守のバランスに秀でた若きオールラウンダーは今年代表デビューを果たした。その一方で、今後代表に定着して国際大会で主力となっていくには、乗り越えるべき「壁」があると、中田久美監督(60)は口にする。

 「北窓はフォワード(前衛)にいった時、活躍できずに崩れていく場面が非常に多かったんですけど、何が問題なのかというところから、ジャンプの専門家の方といいますか…陸上の先生に指導していただきました」。助走の入り方や跳び方をアレンジしたことで「高いジャンプ」と「強いアタック」を手に入れたというわけだ。「彼女には『日本のエース』として活躍したいという目標があります。そこに対しての向き合い方は逐一指示をしています。今は楽しそうに、前向きに挑戦してくれているように感じています」。中田監督は目を細めた。

 選手個々の課題を中田監督は「伸びしろ」と表現。成長するための方法に頭を巡らせ、根気強くアプローチを続けている。以前、北窓について「ナショナルチームでなぜ『サブ』なのか、考えてもらわないといけない」と言及したのは、進化の歩みを止めてほしくないという愛情の表れでもある。

 年内の試合は一区切りしても、シーズンは道半ばだ。何より、ユニホームを脱ぐまで、プロフェッショナルとしての戦いは半永久的に続く。中田監督はもちろん、誰よりも北窓自身が「4センチアップ」に満足はしていないだろう。可能性が詰まった背番号「3」の競技人生の最高到達点はずっと先にある。(西口憲一)

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