<キャンパる>「ミスしない走り」身上 箱根駅伝注目校・中央学院大の黒谷選手

引用元:毎日新聞
<キャンパる>「ミスしない走り」身上 箱根駅伝注目校・中央学院大の黒谷選手

 1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。学生が作る毎日新聞「キャンパる」紙面では毎年、注目校を1校選び、深掘り取材してきた。今大会では、10月の予選会をトップ通過した中央学院大学に注目。主要メンバー4人の大会にかける熱い思いに迫った。締めくくりの4人目は、副将の黒谷優(くろたに・ゆう)選手(4年)だ。【上智大・清水春喜(キャンパる編集部)】

 ◇必死の日々過ごして

 黒谷選手は2年、3年時に箱根駅伝本戦で走った経験がある。自身を「安定した選手。使い勝手のいい選手」と評する黒谷選手が最後の箱根路で掲げる目標は「起用された区で、区間5位以内に入ること」だ。

 新潟県出身の黒谷選手が本格的に陸上競技を始めたのは中学入学のタイミング。「正直、突出した成績を残せる選手ではなかった」と振り返る。頭角を現したのは陸上の強豪校、中越高校に進学してからだ。高校在学中には、2度にわたり全国高校駅伝への出場に貢献した。

 中央学院大への進学は高校の先生がオファーを取り付けてきたことがきっかけだったという。同大入学後、最初の1年は「必死に食らいつく日々だった」。それまで1日30キロ程度の練習だったが、大学では多い時で50キロ以上走ることを求められた。

 ◇楽しめたのは最初だけ

 どうしたら、自分が箱根に出場できるか。自問自答しながら練習を積み重ねてきた2年の冬。最初のチャンスが巡ってきた。任されたのは復路の8区だった。初めての箱根路を黒谷はこう回想する。「幼いころから憧れの舞台だったので、最初はすごく楽しかった。でも楽しめたのは、最初の5キロくらいだけで。残りは、きつい思いしか残っていない」。区間順位は16位。「走り終わって箱根の厳しさを痛感した」

 3年生として迎えた2度目の箱根路も8区を走った。区間順位は10位と前回より成績を上げたものの、難関とされる同区の名所、遊行寺の上りで体力を消耗。「9区で待つ1年生(長部虎太郎選手)を少しでも楽にさせてあげたい」という思いとは裏腹に、前を走る他校の選手から離される結果となり、悔しさが残ったという。

 ◇磨いた対応力に自信

 最上級生で迎える次回大会。「チームの目標であるシード権獲得(総合10位以内)を達成して、監督に笑ってもらえるように頑張りたい」と抱負を語る。どの区を走りたいのかと水を向けると「チームの総合順位を決定づける、復路を走りたい。どんなレース展開であっても攻めの走りをしたい」と強い口調で語った。物静かだった黒谷選手の目に、にわかに闘志がみなぎるようだった。

 しかし、この1年は必ずしも満足のいくシーズンではなかったようだ。2年時に出した自己ベストの更新が果たせない時期が続き、もやもやとした気持ちが続いている。それでも立ち止まっている時間はない。全国各地で開催されるレースに数多く出場。実戦経験を誰よりも積み、対応力を磨いてきた。

 「僕の強みはミスをしないこと」だと黒谷選手は言う。「他の選手に比べて突出した能力はない」としながらも、レースの後半で粘れず失速し、任された役割を果たせないといった失敗をしない走りが持ち味だ。どんなレース展開になっても危なげなく成績を残せる安定感で、「監督にとって想定しやすい選手だと思う」と自負している。

 副将としてチームをまとめる立場にある黒谷選手。漢字1文字でチームを表現すると、という問いには「仲」と答えた。後輩との付き合い方については「厳しく接するというよりも、後輩が居心地よく感じられるように関わっている」という。後輩をつれて、近所のラーメン屋に行くことも多いという。

 卒業後は新潟に里帰りし、セキノ興産の実業団チームで競技を続ける予定だ。安定感のある走りを最後の箱根路でも見せたいと意気込んだ。