◇全日本実業団対抗女子駅伝(クイーンズ駅伝、23日・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台)
◇優勝=エディオン(2時間13分50秒)
アンカーの平岡美帆がトップで競技場に戻ってきても、優勝経験のないエディオンのメンバーは不安げな表情を浮かべたまま。フィニッシュテープを切った瞬間、ようやく感情を爆発させ、初々しく喜んだ。
もともと「個」に優れた選手たちが真の「チーム」になったことを証明した。
1区から守ってきた首位を4区で明け渡し、日本郵政グループを41秒差で追う展開となった。そこで力を示したのが、5区を担うエース・細田あいだった。
移籍加入して5年目で、5区を走るのは4回目。区間の前半は日本郵政の太田琴菜との差を詰め切れなかったが「後半は(相手が上り坂で)きつくなって、追いつくことができる」と自らの経験を信じた。
もくろみ通り、太田の背中が徐々に近づき、残り約300メートルの上りで逆転。「少しでも距離を広げて、(最終6区の平岡に)リラックスした状態で走り始めてほしかった」と7秒のリードを作り、優勝をたぐり寄せた。
1989年に創部(当時はダイイチ)したチームはここ数年、急激に力をつけ、上位候補に挙げられるようになった。細田と同様に移籍加入して4年目の矢田みくに、高卒3年目のホープの水本佳菜ら、「個」の力のある選手が集まったからだ。しかし、安定感に欠け、トップスリーに入れず、連続でシード権(8位以内)を獲得することもなかった。
互いを思い合う結束力を高めた契機として沢柳厚志監督は、主将の矢田が女子1万メートルで出場した9月の世界選手権東京大会を挙げる。
チームの主軸が世界選手権初出場を果たし、沢柳監督は「他の選手(の意識)をすごく高めてくれた」と話し、矢田自身も「世界選手権に向けた練習で孤独になりそうなときも、みんなの声かけに助けられた」と感謝した。
悲願の初優勝を決めると、メンバーは次々に矢田への思いを口にした。
アンカーの平岡のコメントが象徴的だ。
「みくにさんは世界陸上で(20位と)本来の力を発揮できなかったかもしれないけど……。だからこそ駅伝で、みくにさんが引っ張るエディオンは素晴らしいと知ってもらいたかった」と語った。
20歳の水本が1区区間賞で流れを作り、高卒1年目の19歳・塚本夕藍も2区で2位以下とのリードを広げた。若手の快走はチームの将来を明るく照らす。創部37年目の悲願を果たしても、沢柳監督は「まだまだ発展途上」と勝ってかぶとの緒を締めた。
常勝のストーリーをこれから紡いでいく。【岩壁峻】
「個」の集団が結束、エディオン悲願の初優勝 クイーンズ駅伝
引用元:毎日新聞


