最強留学生が「恐怖を感じた」高校生ランナー 北海道の冬…常識を疑う思考「『雪=ハンデ』は疑問」――東海大札幌・吉田星

引用元:THE ANSWER
最強留学生が「恐怖を感じた」高校生ランナー 北海道の冬…常識を疑う思考「『雪=ハンデ』は疑問」――東海大札幌・吉田星

“最強留学生”に恐怖心を植え付ける激闘を繰り広げた。吉田星(東海大札幌3年)は男子1500メートルで優勝、5000メートルで準優勝。北海道の冬も成長の糧にする逆転の発想で、長距離界のスター候補に名乗りを上げた。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

 ボイ・ビリス(札幌山の手2年)が、思わず目を見開いた。背後から現れた影。その正体は――吉田星だった。

 大会4日目の男子5000メートル。レースはビリスらケニア人留学生2人が先頭集団を形成。周回するごとに3位以下を引き離す。3000メートル地点でおよそ20メートル。しかし、この男は冷静に遠くの背中を見つめていた。

「ラストスパートだったら勝てる」

 3番手にいた吉田は徐々にペースを上げ、先頭集団に迫る。そして、残り1000メートルでキプロプ・ケンボイ(倉敷3年)を抜き、さらにビリスの前に出た。「勝てるんじゃないの、これ!」。会場が地響きのように沸き返った。

「彼(吉田)はとても強かった。後ろについてきていることも気づかなかった。見えた瞬間に恐怖を感じた」

 7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ2026では、5000メートル13分9秒74のU18世界歴代8位の記録を叩き出したビリスは、その瞬間の衝撃をこう表現した。

 しかし、吉田は残り200メートルで再びビリスに抜かれ、13分36秒34で2位。大会2日目に優勝した1500メートルから中1日の強行軍だったが、それを言い訳にすることはない。会場からは労いの拍手と歓声が降り注いだ。

 レースプランを「勝つ」に設定し、真っ向勝負を挑んだ吉田は「今年は歴代最強の留学生ランナーがいる。なんとかビリス君を差したい、という気持ちはありましたけど。『本当に勝てるんだろうか』という心の隙が最後の最後で出てしまった」と詰めの甘さに唇を噛んだ。