男子マラソンの日本トップ選手を育ててきた駒大の大八木弘明総監督(68)が29日までにスポーツ報知の取材に応じ、今年4月に誕生した驚異的な世界新記録(1時間秒59分30秒)について、後半の強さや日本選手との差などについて語った。世界を目指すトップ選手で構成するプロジェクト「Ggoat」の指揮を執っており、1万メートル日本記録保持者の鈴木芽吹(25)=トヨタ自動車=らが、将来的にはマラソン挑戦も視野に入れていることも明かした。
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今年4月26日、ロンドン・マラソンで衝撃の世界新記録が誕生した。男子のセバスチャン・サウェ(31)=ケニア=が人類初の2時間切り「サブ2」となる、1時間59分30秒をマーク。大八木総監督もこの記録には驚がくした。
「これはもう、すごいよ。後半(ハーフ)は59分1秒。特にラストがちょっと、驚異的ですよね。すごいスピードがある選手ではなかったですが、ロードは強いと聞いていました。マラソンは4戦目。初マラソンからずっと優勝しているので、やっぱり適性があったんだろうなっていう感じはしますよね」
同大会では3選手が従来の世界記録を更新。男子マラソンの歴史が大きく動く超高速レースとなった。「2時間切りは19年にキプチョゲ(ケニア)が非公認で出しているので、いずれは出るっていう思いはしました。これからまた出るだろうなっていう感じもします。まだ前半(ハーフ)が60分29秒なのでこれが59分台までいけば、1時間58分30秒くらいまではいく」と大八木総監督は分析する。
これまで元日本記録保持者の駒大・藤田敦史監督(49)、21年東京五輪代表の明学大・中村匠吾監督(33)を始め、日本トップのマラソン選手を育ててきた。
「マラソンは持久的なところが大事。スピードトレーニングもバランス良くやらなければいけない。ケニア勢は朝長く走ったり、クロカン的なコースを30~40キロとか走ります。やはりマラソン選手でもトラックで代表になれるくらいのスピードがないと日本記録、世界記録は出ない。サウェはトラックはあまり好きではなく、ロード中心にやっていた。トラックでそこまで走っていない選手でもあそこまで速く走れるんだって気づきはありました」
日本記録は大迫傑(35)=リーニン=が昨年12月に出した2時間4分55秒だ。28年ロサンゼルス五輪へ向けては、27年3月までに指定大会で2時間3分59秒(男子)を突破した最上位選手がMGCを待たずに代表に内定する「ファストパス」制度を多くの日本勢が意識している。
「9月(27日)のベルリン・マラソンは日本記録を狙いに皆行くので、2時間3分59秒が出る可能性もあるかもしれません。そのために後半(ペース)が上がらないと記録は出ない。前半(ハーフ)62分ちょうどくらいで、後半61分くらいで上がってきてくれれば2時間3分30秒くらい。そのためには、日本選手もハーフで最低でも59分30秒(日本記録は太田智樹の59分27秒)くらい出してほしい。そうすると、62分がちょっと余裕を持って走れますよね」
大八木総監督が率いる「Ggoat」では世界陸上2大会代表の田沢廉(25)ら日本トップ選手が在籍し、トラックレース中心に活躍中だ。
「トラックが終わったら、マラソンって希望している選手がほとんどです。距離走や持久的な練習をやってみて、本当にマラソンに向いているかも見極めたい。どこをトラックの区切りにするかも考えなければいけない」。
名伯楽は「サブ2」を達成する日本人選手育成にも情熱を注いでいく。(手島 莉子)
◆大八木 弘明(おおやぎ・ひろあき)1958年7月30日、福島・会津若松市生まれ。68歳。会津工から小森印刷、川崎市役所を経て24歳で駒大入学。箱根駅伝は1年5区区間賞、2年2区5位、3年2区区間賞。4年時は年齢制限のため出場できず。87年卒業後、ヤクルトに入社。95年に駒大コーチに就任し、2004年に監督に昇格。23年に同校初の学生3大駅伝3冠を達成して勇退し、総監督となった。
◆「Ggoat」 駒大の大八木総監督が率いて2024年4月に発足したアスリートチーム。「G」には「great(偉大な)」。「goat」には大八木総監督の「ヤギ」と「greatest of all time(史上最強)」という意味が込められている。駒大OBの田沢、鈴木、篠原倖太朗(23)に駒大在学中の桑田駿介(3年)、800メートル日本記録保持者・落合晃(2年)が所属。駒大の玉川キャンパスを拠点に練習している。
◆MGC 日本陸連が21年東京五輪の男女マラソン日本代表選考会として新設した、マラソングランドチャンピオンシップの略。従来行われていた複数の選考会に代わり、予選に相当する大会で、定められた基準を満たした選手らが一発勝負でレースし、上位2選手は即時内定。28年ロス五輪へ向けては27年10月3日(名古屋)に開催される。さらにロス五輪では新たに「ファストパス」制度が設けられ、27年3月までに指定大会で男子は2時間3分59秒、女子は2時間16分59秒を突破した最上位選手がMGCを待たずに内定する。
駒大の大八木弘明総監督、男子マラソン世界新記録「サブ2」を分析 記録更新のかぎは後半 今後は「1時間58分30秒くらいまでいく」…9月のベルリン・マラソンで日本記録更新に期待
引用元:スポーツ報知


