6月の夕方。暗くなり始めた山梨県立上野原高校(上野原市)のグラウンド脇で、Tシャツにハーフパンツ姿の2人が野球部の練習を眺めていた。
大神田愛斗(おおかんだまなと)さんと鈴木葵王(あお)さん。2人はバスケットボール部の3年生だ。片付けを始めた野球部員に声をかけた。
「今日の練習、どんな感じ?」「キャッチボールとノックだった」
2人は今春から野球部にも所属する。この日の練習で一塁ベースに置かれた打撃練習用ネットは、ここを守る大神田さんの代わり。内野の守備練習で、部員たちがネットに向けて送球した。
今夏、上野原は5年ぶりに単独で出る。部員不足で2022年から他校と連合チームを組んできたが、今春に野球経験のある新入学生5人が入ったからだ。
それでもチームの中核には、運動能力の高い、他の運動部からの移籍や兼務の部員たちが並ぶ。
楢島一翔(ならしまいちと)さん(3年)は5月まで陸上部だった。短距離選手で100メートルを12秒台で走る。
野球部に勧誘してきたのは主将の奈良駿汰(しゅんた)さん(3年)だった。125キロの直球にスライダーとカーブを織り交ぜた投球が持ち味のエースだ。
奈良さんは1年秋に野球部に入った。上野原はすでに他校と連合チームを組んでいた。他校の選手と声をかけあい、協力する達成感はあった。それでも、毎日顔を合わせる上野原の仲間とチームを組みたいとの思いを抱いていた。
「最後の夏は、上野原として試合に出たい」
バスケ部の大神田さんに声をかけたのは今春の授業の合間だった。
大神田さんは、本格的に野球をした経験はないものの球速120キロの強肩を持つ。強豪の山梨学院高校(甲府市)で活躍する幼なじみから肩の使い方を教わったといい、カーブとスライダーも投げる。
そのまま同部の鈴木さんにも声をかけた。
「単独で出られるのなら、出たい」
バスケ部も昨年度から部員不足に悩む。6月の高校総体予選も合同チームで出ていた。
応援団長の鈴木龍正さん(3年)も加わった。
山梨大会の開幕まで2週間を切った23日、全員そろっての練習が本格的に始められた。スタートが遅かった分、一日でも長く一緒にプレーしたい、と「朝練」にも力が入る。(棟形祐水)
「最後の夏、単独で」 山梨・上野原 バスケ部も勧誘 5年ぶり出場
引用元:朝日新聞


