【スポーツ記者コラム】長距離人気の高い日本で、大学駅伝の有名選手は当たり前のように誰もが知る大企業に進む。実業団でも駅伝に人員が割かれる上、テレビで2時間以上中継されるマラソンで活躍すれば企業にとっても相当なアピールになるからだ。メーカーもこぞって有力選手を奪い合う。
しかし、中距離専門の選手はその枠外にいる。日本選手権で上位に入るレベルでも就職で苦労した、という話をよく聞く。世界との差も大きく、五輪や世界選手権に出場することも困難で露出が少ない。当時駒大1年だった落合晃が昨秋の世界選手権東京大会に出場したのも、14年ぶり史上3人目の快挙だった。
そんな長い冬の時代にあった中距離に今、異変が起こっている。滋賀学園高3年時に1分44秒80の日本記録を樹立した落合は、先月3日の静岡国際で1分43秒90、同30日のMDCで1分43秒45と2連続で自身の記録を更新。6月14日時点で世界歴代97位、今季世界7位につける。世界大会の決勝に残ってもおかしくない水準だ。
他の選手も続いた。クレイアーロン竜波(ペンシルベニア州立大)が5月29日に米国で行われた競技会で1分44秒63でベストを更新。MDCでは四方悠瑚(4DIRECTIONS)が1分44秒94、元日本記録保持者の源裕貴(NTN)が1分45秒01、萬野七樹(関大)が1分45秒31、田辺奨(中大)が1分45秒32、岡村颯太(鹿屋体育大)が1分45秒51と日本歴代3~7位の記録が出た。静岡国際で落合の次ぐ2位だった松本純弥(成洋産業)も日本歴代8位の1分45秒64で走っている。2026年5月に日本歴代上位8位までが全部入れ替わったのだ。
それぞれが全く違う角度から好記録を生み出しているのも興味深い。落合は2022年度に史上5校目の大学駅伝3冠を果たした大八木弘明総監督が率いるエリートチーム「Ggoat」で力をつける。神奈川・相洋高3年時に日本選手権で優勝したクレイは米・テキサスA&M大時代は苦戦したが、ペンシルベニア州立大で復活を果たした。四方はアルバイトで生計を立て、坂道でのトレーニングを中心にアプローチ。田辺は昨年の日本選手権男子400メートルで3位に入った選手で、「自分の後半の強さは800メートルでこそ生きるのでは」と今季から本格的に800メートルに参戦した。
先月発表された27年の世界選手権北京大会の参加標準記録は1分43秒00で、前回よりも1秒50も上がった。ターゲットナンバー(人数の上限)は56で、記録有効期間は今年の8月23日から来年の8月22日まで。東京大会の記録有効期間に出された記録を当てはめてみると1分43秒を切れた選手は世界でも15人しかいない。ランキングでの出場権獲得へ方針転換された形だが、もしかしたら800メートルで日本選手の参加標準記録突破がみられるかもしれない。
800メートル新時代! 駒大・落合晃は日本新2連発 5月に上位8傑入れ替わり /陸上
引用元:サンケイスポーツ


