陸上・男子800メートル落合晃が世界陸上で感じた壁 追求するのはラスト勝負の「強さ」

引用元:産経新聞
陸上・男子800メートル落合晃が世界陸上で感じた壁 追求するのはラスト勝負の「強さ」

愛知・名古屋アジア大会は11日で開幕100日前を迎える。1994年広島大会開催以来、32年ぶりの日本開催は2年後に迫るロサンゼルス五輪へ飛躍するための登竜門となる。陸上男子800メートルの落合晃はロス五輪ファイナリストを見据える大学2年生。5月だけで2度も日本記録を更新した次代のスター候補は「アジア大会で優勝が今季、一番の目標。ロスでファイナリストになるためにも勝ち切りたい」と闘志を燃やしている。

■1カ月で1秒縮める

5月30日のミドルディスタンス・サーキット東京大会では、前半400メートルを自身初めてという49秒台で突っ込みながら大きく失速することなく、同月3日の静岡国際で出した記録を0秒45更新する1分43秒45の日本新。「49秒で入っても動揺することもなく、自信を持って走れた」。滋賀学園高3年時の全国高校総体でマークした1分44秒80から、5月の1カ月間だけで1秒以上縮めた。

高校時代は前半からハイスピードで突っ込み独走するスタイルで、低迷していた日本中距離界を席巻した。しかし、駒大1年生で迎えた昨年の世界選手権東京大会では予選落ち。「最初の200メートルでレースが終わった」。国内では先頭に立てても、スピードがあり、体のサイズもある海外勢はそう簡単に前に出させてはくれない。1つのレースパターンだけで勝てないことを改めて突き付けられた。

■海外選手との「勝負勘」

強さを求め、終盤の走りを磨いた。「ハイペースになってもスローになっても臨機応変に対応し、最後はまくって(ラストスパートで)勝ち切る」。駒大の大八木弘明総監督とは、「どんなタイムで600メートルを通過しても26秒で上がる」を共通認識にスタミナを強化してきた。滋賀学園高は駅伝強豪校だったこともあり、距離を走ることは慣れていたが「量、質ともに上がった」。冬季は1日の走行距離計16キロほど、時には計20キロにも及んだ。

その取り組みの真価を見せる舞台がアジア大会になる。優勝すれば代表入りが決まる日本選手権(12~14日、パロマ瑞穂スタジアム)を回避し、アジア大会の前に海外で力試しすることを選んだ。仮に日本選手権で2人が落合の日本記録を上回ればアジア大会代表の座を失うリスクもあるが、「海外の選手との勝負勘は実際に海外で走って肌で感じないといけない」とアジア大会制覇を見据えた選択をした。強さも兼ね備えたランナーであることを証明し、次のステージへ歩みを進める。(石原颯)