【浜名湖ボート SGオールスター】GP痛恨Fから1年5カ月… 菊地孝平 地元水面でSG復帰

【浜名湖ボート SGオールスター】GP痛恨Fから1年5カ月… 菊地孝平 地元水面でSG復帰

 ファン投票で選ばれた52選手によって争われるSG「第53回オールスター」はきょう26日、静岡のボートレース浜名湖で熱戦の火ぶたが切って落とされる。24年12月の「グランプリ」トライアル2ndでコンマ01のフライング(F)を切り、最高峰の舞台から姿を消した菊地孝平(47=静岡)はここがSG復帰戦。ボート界No・1と評されるスタート巧者が1年5カ月前の悪夢、地元SGやスタートへの思いを語った。

 ――最後のSG出場となった24年グランプリから1年5カ月は長かった。

 「ちょっと分からない感じかな。昨年のオールスターの時くらいまでは(自分がSGに)出られないんだ…という思いがあったけど(6月の)グラチャンくらいからは出てない自分が当たり前になってきました」

 ――そのグランプリで切ったコンマ01のFのことは覚えている。

 「もちろん覚えています。早いスタートだけど入っている確信を持って行った。でも、スリットラインの下に行った時に“えっ”と思って…。(Fランプを)二度見、三度見した。全速で凄くダッシュ(スピード)が乗っていて…。コンマ0台中盤まで見極められている感覚だったけど、慢心だったのかもしれません」

 ――ピットに帰投した時は?

 「ピットに戻った瞬間は立てなかったですね。でも、みんなにその姿を見せるのが悔しくて、ちょっと笑っていた記憶があります」

 ――その日、選手宿舎に戻ってからのことは?

 「あまり覚えていません。ただ、何度か夢で見た」

 ――翌朝、何を考えた。

 「待ち受けている現状を整理して、その中で自分ができる最高のことを考えました。言葉を間違えているかもしれないけど(このFを)レーサーだけではなく、人生の中でプラスに転換できることは何か考えた」

 ――当時46歳。年齢的にSG戦線に戻るのは厳しいと思う人もいそうだが。

 「僕、年齢がいっているという意識が全くないんで(笑い)。80歳くらいまでレーサーやっていたいから自分に残された時間は十分あると思っています。だから焦りは全くなかった。(マラソンの)大会に出てタイムも速くなっているし、昨年よりフィジカルは上がっていると思っています」

 ――一般戦が主戦場となった25年はどうだった。

 「最初(の蒲郡)は優勝できたし、クラシックの出場権を獲らないといけないと思っていたけど、思うような成績は残せなかった」

 ――一般戦回りの中で目標は何か立てたのか。

 「正直、目標はなくて…。もしかしたら(目標を)つくらなかったことで逃げていたのかもしれない。でも、心は相当休まった」

 ――それは、どうして?

 「あがいてもグランプリには行けないじゃないですか。言い方を変えると(グランプリを)目指さなくてもいいんだ、と思った。20年くらいグランプリだけを考えてやってきて、調子が悪い時もある。とにかく、しんどかった。この一年はそれを考える必要がないと思った時、猛烈に心が楽になりました」

 ――再び成績を上げていくためには?

 「気持ちを高めていくしかないでしょう。足場を固めて、一からやり直すくらいの気持ちで」

 ――グランプリのFでスタートに対する考え方に変化はあった。

 「ないです」

 ――多くの選手が菊地選手のスタート力をリスペクトしていると思う。

 「そこが目立つと言われるけど“スタートだけは誰にも負けたくない”とか“スタートで勝ってやろう”とか、これっぽっちも思っていないですよ。プロペラ調整、整備、ターンとか、いろいろある項目の一つ。ただ、自分が今できるスタートをしたいと思っているだけです」

 ――昨年1~9月はコンマ0台のスタートが減少。

 「それは意識して気を付けていました。絶対に間違えてはいけないという気持ちでいました」

 ――G1復帰目前の10月からは0台が増え出した。

 「ちょっとずつ行かないといけないし、行く価値がありますからね」

 ――優勝戦1号艇を手にした12月とこなめG1はコンマ15で捲られて2着。罰則が頭をよぎった。

 「罰則は全く意識していないし、遅れたとも思っていませんでした。勝つために最高のスタートをしようと思っていたから、凄く悔しかったのはあります」

 ――SG復帰戦が地元・浜名湖のオールスター。どんな気持ちで臨む。

 「こんな状況の自分でも投票してくれた方がいるから走れる。本当にありがたい。感謝の気持ちをファンの方にダイレクトに返せるのって結果しかないと思う。地元SGで頑張りたい気持ちはあるけど、今は恩返しをしたい気持ちが強い。応援してくれる人に活躍している姿を見せたいので、まだまだ頑張りますよ」(聞き手・水田 公裕)

 ◇菊地 孝平(きくち・こうへい)1978年(昭53)8月16日生まれ、岩手県八幡平市出身の47歳。静岡支部の82期生として98年5月浜名湖でデビューし、3戦目で初1着。01年びわこ一般戦で初優勝。SGは14年福岡オールスターなど5V。G117V。生涯獲得賞金20億6370万9613円。1メートル65。血液型AB。