2回目の挑戦で日本選手権クラス⁈ 女子3000メートル障害にフレッシュな風/陸上

2回目の挑戦で日本選手権クラス⁈ 女子3000メートル障害にフレッシュな風/陸上

【スポーツ記者コラム】写真撮影のために競技場内を歩き回っていると、時々水濠の深さに目を奪われる。3000メートル障害では、障害の高さは男女で約15センチ異なるが、水濠は同じものを使用する。水濠は一番深いところで約70センチ。小学校のプールほどもある。長さは3.66メートル。くぼみには傾斜がついていて、奥に行くほど浅くなる。選手は3000メートルを走りながら、障害を28回、水濠を7回跳び越えていく。

4月末の日本学生個人選手権。2人の選手が新たな世界に足を踏み入れた。女子3000メートル障害決勝は名城大の近藤希美(3年)と昨季の大学女子駅伝2冠の城西大の大西由菜(2年)が一騎打ちを演じ、近藤が9分59秒67で優勝、大西が10分10秒23で2位。近藤は6月の日本選手権(名古屋)の参加標準記録(10分3秒00)をクリアし、大西は参加標準記録は切れなかったものの、申込資格記録(10分35秒00)を突破して日本選手権出場の可能性を残した。

実は2人ともこの種目を専門にやってきた選手ではなかった。「障害を跳ぶのが得意というか、減速せずに跳ぶのが強み」と軽やかなハードリングを披露した近藤は「3000メートル障害のレースに出たのは2回目。レース以外では水濠をやってなくてハードルの練習はちょくちょくジョグの中や練習終わりのポイント終わりの流しで少し跳ぶくらい」。器械体操などで培った感覚を生かして乗り切った。

大西は高校時代から競技に対するあこがれはあったものの、練習設備や駅伝との兼ね合いもあり今年3月の関東学連春季オープンでようやくデビュー。デビュー戦では水濠がうまくいかず、豪快に両足でドボンと着水して「たくさんの方から笑われた」という。その後も練習したが、両足着水が治らないまま今大会を迎えた。それでも「近藤さんがお手本となった。そのおかげで自分でもびっくりするくらい両足ではなくて遠くまで跳べた」と流れに乗って好タイムを出せた。

過去の日本選手権の結果を見ると、9分59秒は3~5位程度、10分10秒は5~8位程度。タイムは気象や駆け引きに左右されるが、十分上位が狙える水準にある。男子は三浦龍司(SUBARU)が世界選手権や五輪で入賞と活躍中。女子も昨秋の世界選手権東京大会で斎藤みう(パナソニック)が9分24秒72の日本新記録を打ち立て、活気づいてきた。転倒などが起こりやすいハードな種目ではあるが、より上の世界でチャレンジする機会を生かしてほしい。(川並温美)