アスリートを傷つける社会的な問題に向き合い、選手たちが安心して競技に専念できる社会を目指すプロジェクト「RESPECTion!(リスペクション)」。多くの競技団体がスポーツハラスメント(スポハラ)の解消に取り組むなか、同プロジェクト共同代表の青山学院大陸上競技部長距離ブロックの原晋監督(59)が産経新聞のインタビューに応じ、指導者に必要とされる条件を語った。
■全てはプロセスの流れの中から出てくる
陸上長距離という競技には、プロセスが大切だという特性がある。ランニングパンツとランニングシャツだけを着て、身ひとつで走る。当たり前のことを当たり前のようにやった上で、結果が出るスポーツだ。
私はこの競技の現場責任者として、学生たちによく伝えていることがある。日々の努力の積み重ねが、あの華やかな箱根駅伝で活躍できること、魅力ある走りにつながる。99%が仕込みだよ、と。たまたまラッキーで勝った、ということはない。仕込んだ結果が勝ちにつながる。
サラリーマンの皆さん、主婦の皆さんでも仕込みが9割を占めると私は思う。プロセスをいいかげんにやって、いい成果は出ない。将来の課題を解決するというのも、全てはプロセスの流れの中から出てくる問題だ。日々当たり前のことを当たり前のようにできる習慣が、豊かな社会生活を営むことにつながる。
■選手も理解するスキルを身につけて
現場で指導している立場として、指導者に必要なものは説明責任だと思っている。これをやれ、あれをやれという一方的な高圧的指導ではなく、「何のためなのか」をきちんと説明することは最も必要な要素だ。
これだけ情報網が張り巡らされている現代で、邪心を捨てて競技に集中することが果たしてできるのか。SNSなどなく、戦わなければ殺される戦国時代であれば、心を鍛えて負けない精神力を作ることが一番大切だったかもしれない。ただSNSがこれだけ豊かな時代になった今、心は確かに重要で抜け落ちてはいけない要素だが、私は「技体心」の順番になると考えている。正しい技術力を持ち、語彙力を持って教えていくことが最も大切だと感じている。
選手側も、理解するスキルを身につけていく必要がある。相互の兼ね合いで、初めて世界で戦えることにつながる。選手がファーストキャリアで夢を実現した後、セカンドキャリアで今度は社会課題と向き合い、それを解決する能力を得る。そういった好循環を僕は作っていきたい。
「正しい技術力と語彙力で教えていくこと」 青学大陸上部・原晋監督が語る指導者の条件 RESPECTion!インタビュー
引用元:産経新聞


