【ベテラン記者コラム】最近のスポーツ界で大きな話題のひとつといえば、陸上の男子マラソンでついに〝2時間の壁〟が破られたことだろう。
4月26日のロンドン・マラソンで31歳のセバスチャン・サウェ(ケニア)が1時間59分30秒の世界新記録で2連覇を達成。ケルビン・キプタム(ケニア)が2023年10月のシカゴ・マラソンでマークした2時間0分35秒を1分5秒も更新した。2位のヨミフ・ケジェルチャ(エチオピア)も1時間59分41秒で、人類初の2時間切りがいきなり2人も誕生。両選手とも重さわずか97グラムというアディダスの厚底シューズの最新作「アディオス・プロ・エヴォ3」を履いていた。
ペースメーカーがいい仕事をして先頭集団は中間点を世界記録を上回る1時間0分29秒で通過。ペースメーカーが30キロで外れるとサウェとケジェルチャがペースを上げ、30キロから35キロは13分54秒、35キロから40キロは13分42秒とスピードアップ。サウェは41キロ手前でケジェルチャを突き放し、トップでフィニッシュした。後半はなんと59分1秒で走破。強い選手は後半の方が速いが、まさにそのとおりで、ハーフマラソンの日本記録(59秒27=太田智樹)より速いのだから恐れ入る。ちなみに、3位のジェイコブ・キプリモ(ウガンダ)も2時間0分28秒で従来の世界記録を上回るという、歴史的なレースとなった。
世界陸連(WA)の「スコアリングテーブル」で比較すると、男子マラソンの1時間59分30秒は男子100メートルなら9秒66に相当する。あのウサイン・ボルト(ジャマイカ)の不滅の世界記録に次ぐ、ものすごい数字だ。サウェは2024年12月のバレンシア、2025年4月のロンドン、同9月のベルリンと全て2時間2分台で優勝しており、マラソンは今回で4戦全勝。42・195キロで圧倒的な成績を収めている。
2位のケジェルチャもすごい。もちろん、断トツの初マラソン世界最高記録を樹立。同じく「スコアリングテーブル」では、男子100メートルの9秒67に相当する。初マラソンのタイムとしては当分破られないのではないかという快挙で、次戦以降どんな記録で走るのか、興味は尽きない。
日本勢はというと、高岡寿成が2002年10月のシカゴ・マラソン(3位)で2時間6分16秒の日本記録をマークし、これは当時の世界歴代4位タイというハイレベルの記録だったが、その後約16年間も破られない時期が続くなど、世界との差は広がる一方だ。今年3月の東京マラソンでは大迫傑と鈴木健吾という新旧の日本記録保持者が直接対決して注目されたが、日本勢最先着の大迫が全体では12位、鈴木が13位。アフリカ勢を中心とした有力選手とはペース設定が違うため、ハナから第2集団(実際には第3集団)でのレースとなり、その差の大きさを思い知らされる結果となった。
100メートルなら「9秒66」に相当! 2時間切りが2人誕生した歴史的マラソン
引用元:サンケイスポーツ


