15年以上にわたり卓球男子日本代表のフィジカル強化を担ってきた田中礼人氏が、卓球専門誌『卓球王国』(2026年5月号)で「卓球における才能」の定義について語った。多くの人が天性と考えがちな「フィーリング(ボールタッチ)」も、実は後天的に養われる能力だという。
■卓球は「骨格」より「継続力」のスポーツ
田中氏は、卓球を陸上競技のような体力系ではなく「技術系」のスポーツと定義する。骨格や筋繊維の質といった先天的(生まれつき)な要素が勝敗を大きく左右するわけではなく、何よりも重要なのは「トレーニングを年間通じて継続できる力」であると指摘。
その象徴として、中国のレジェンド、馬龍(マ・ロン)選手の名を挙げた。彼は抜群のパワーと卓越した体の使い方を誇るが、それは徹底した準備とケア、ジムでの黙々としたトレーニングという「努力の賜物」だという。
■「フィーリング」も幼児期の学習で決まる
一般的に卓球の才能の代名詞とされる「ボールを操るフィーリング」についても、田中氏は「後天的なもの」と言い切る。
幼児期〜小学校低学年: フィーリングが養われる黄金期。早期に始めるメリットはここにある。
3歳〜12歳: 神経系が発達し、自分の体を思い通りに動かす「調整力」が伸びる時期。
ここで田中氏が警鐘を鳴らすのは、幼少期に「卓球の練習だけ」に没頭するリスクだ。 「卓球台の前での練習ばかりでは、基本的な体の使い方が身につかない。その結果、パワーが必要な一般クラスに上がった際、ボールに力を伝えられず伸び悩む可能性がある」と分析。学校の体育や外遊び、多様な運動経験が将来の「伸びしろ」に繋がると説いた。
■身体能力に自信がない選手への処方箋
「先天的な身体才能がなくても、努力で補い活躍しているトップ選手は多い」と語る田中氏。中高生に向けた具体的な強化メニューとして以下の3点を推奨している。
全力スプリントのインターバル(週2回程度): 瞬発力の向上。
筋力トレーニング: 腕立て伏せやスクワットなど、自重から始めてベースを作る。
ストレッチ: 高めた筋力を生かすための可動域確保。
最後には「卓球はあくまで技術系。トレーニングの成果を技術に落とし込む『両輪』の意識が不可欠」と締めくくった。 (卓球王国最新号・卓球王国PLUSより抜粋)
【田中礼人(たなか・あやと)プロフィール】 1983年生まれ。2010年より男子日本代表のストレングス&コンディショニングコーチを務める、フィジカル強化のスペシャリスト。
【卓球の才能とは】代表コーチが語る「フィーリングは後天的」。一流選手に共通する“真の才能”
引用元:卓球王国

