進化示す6年ぶり栄冠 桐生、コロナ禍で高めたプロ意識―陸上日本選手権

引用元:時事通信
進化示す6年ぶり栄冠 桐生、コロナ禍で高めたプロ意識―陸上日本選手権

 大混戦となった男子100メートル決勝。最後に抜け出したのは本命の桐生だった。ゴール後は人さし指を立てて「日本最速」を誇示し、「勝ち切れたのはでかい」。東洋大1年時の2014年以来となる栄冠の喜びに浸った。

 前半は左隣の多田が先行する展開も、「想定内」。70メートル付近でかわし、激しく競り合っていた「後半型」のケンブリッジを100分の1秒差で振り切った。「今年は中盤から後半は(速度が)落ちないから自信を持っていけた」。昨季まで崩れていた課題の後半もしっかりとまとめ、力強い走りとなって進化を示した。

 新型コロナウイルスの影響を受けた今季はプロ意識が一層高まった。レース数が限られる中で、「一回一回の勝負を無駄なく大切にして、桐生祥秀の名前を広めたい。甘えがなかった」。中高生とオンラインで積極的に交流して助言を送る中で、新たな思いと自覚も芽生えた。「結果を残せない人は指導できない。遅かったら恥ずかしい」

 コロナ禍で限られた観客の中でも大きな拍手や声援に包まれ、「こういう中で走れるのは幸せ」。土江寛裕コーチらスタッフの名前を挙げ、「恩返しじゃないですけど、メダルを渡したい」。支えに深く感謝した。

 肌寒い気候もあって記録は10秒27にとどまった。「来年は速さと強さを兼ね備えて帰ってきたい」。24歳の視線は、来夏に延期された東京五輪の決勝の舞台に向いている。 

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