医師ランナー広田有紀、葛藤乗り越え五輪へ陸上専念

引用元:日刊スポーツ
医師ランナー広田有紀、葛藤乗り越え五輪へ陸上専念

今春、医師国家試験に合格した異色のランナーが、来年7月に延期された東京五輪を目指している。

【写真】笑顔でシューズを履き替える広田

新潟高出身の女子800メートル広田有紀(24、秋田大)は、今季から新潟アルビレックスランニングクラブ(RC)に加入。医師と五輪の二兎(にと)を追ってきたが、2年間の研修医の道を一時封印し、陸上一筋に突き進んでいる。

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走るたび、広田の前髪がめくれ上がる。200メートル8本のインターバル走。右足ふくらはぎの肉離れはまだ完治していない。

「ケガの悪化を防ぐため練習は6割。ゆるめです」と細心の注意を払い、1本1本大事に走り込む。「この1年は陸上に力を注ぎたい」と話す1年がスタート。「五輪は力をつけてから目指すもの」とさらなるパワーアップを図り、陸上に専念する期間を東京五輪本番まで延ばすつもりだ。

今春、秋田大を卒業。2月8、9日に行われた医師国家試験にも見事合格した。試験の1カ月前からは勉強だけに集中し、試験明けから陸上にシフト。「(五輪選考会の)日本選手権(6月)まで時間がない」と焦って強度の高い練習を行い、右足ふくらはぎを故障した。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪は来年7月に延期が決定。日本選手権も9月下旬~10月初旬まで延期となった。広川は「ちょっと不謹慎だけれど…」と前置きして続けた。「万全な準備ができるから最初はホッとしました」。個人的には、追い風が吹く状況になった。

7日に緊急事態宣言が東京、大阪をはじめとした7都府県に発令されるなど、感染拡大の事態は深刻だ。「医師免許を取ったのに、走っていていいのか」と、現状に葛藤しながらも陸上一本に絞った。大学時代の練習は1時間程度の短いものを含め週4、5回。毎年のように約1カ月間は(医療)実習だけに時間を取られてきた。「陸上一本に絞りたいと思う瞬間は何度もあった」。新潟アルビRCは、その思いを実現させるのには絶好の環境だ。

800メートルの自己ベストは18年の日本選手権(4位)で出した2分4秒33(県記録)。陸上に専念できる今季の目標は、2分2秒台と日本選手権3位以内だ。練習メニューは広川自身が1週間単位で作成。短いスパンの目標を立てて走っている。「先を見ずに、毎日の練習でゴールを作る」。最後のフィニッシュポイントが東京五輪出場となる。【涌井幹雄】

◆広田有紀(ひろた・ゆうき)1995年(平7)5月20日、新潟市生まれ。新潟-秋田大。陸上は白山小5年から開始。高3の全国高校総体で優勝。同大会のタイム2分05秒65は県高校記録。日本選手権は16、18年に4位。昨季の同選手権は5位。自己ベスト2分04秒33は県記録。165センチ、51キロ。血液型O。

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