【インターハイPlayBack】“世界”を意識し続ける女子投てき黄金世代の競演

引用元:月刊陸上競技
【インターハイPlayBack】“世界”を意識し続ける女子投てき黄金世代の競演

 今春、多くの陸上トップ選手たちが大学を卒業した。トップアスリートとして挑戦を続ける者もいれば、ひと区切りして社会人として巣立つ者もいる。

 この世代が高校3年時のインターハイは、人々の心に深く刻み込まれている。SNSやニュースで彼らの卒業の知らせを見ると、あの時の記憶が呼び起こされ、2015年のインターハイを今一度、振り返り、刻みたいと思った。

世界一・北口VS高校記録保持者・山下
 勝つのは「ユース世界一」のディフェンディング・チャンピオンか、それとも「高校記録保持者」か。女子やり投は、和歌山インターハイにおける注目の的だった。

 1年前。高校から陸上部に入り、わずか1年半で2年生ながら日本一の座を得た北口榛花(旭川東高)。しかも、助走が苦手で最後はたった数歩だけの助走で逆転優勝をもぎ取った。そのインパクトは絶大だった。

 3年目を迎えてもその勢いは止まらない。和歌山インターハイ直前に行われた18歳未満の世界一を決める世界ユース選手権(コロンビア)で、北口は世界一に輝いた。国際陸連(当時・IAAF)主催大会の日本女子投てき種目で金メダルを獲得するのは初。世界に「KITAGUCHI」の名を轟かせた。

 だが、北口がコロンビアに入って「世界一」を勝ち取る直前、日本ではライバルが快記録を投げた。山下実花子(京都共栄高)が、58m59の高校新。佐藤友佳(東大阪大敬愛高)が2010年に作った記録を塗り替えてみせた。もちろん、その知らせはコロンビアの北口にも届いていた。

 連日猛暑日が続く灼熱の和歌山。女子やり投の頂上決戦は大会2日目に行われた。

 1投目は山下が53m39とまずまずの記録を投げたものの、北口は自己新となる56m59で先手を取る。トップ8に進んでからの4投目は、山下が54m24を投げると、続く北口が56m63のまたも自己新。山下も尻上がりに記録を伸し、5回目に55m40を投げたものの、逆転はできず。北口は5回目56m53、6回目55m97と、高校生レベルを超越したハイアベレージで2連覇を飾った。

 勝った北口は涙。「他の選手はあまり気にしない」タイプだが、勝って当たり前というプレッシャーの中で勝ち切った安堵感だった。一方の山下も「58mを投げられる自信があった」と大粒の涙が頬を伝う。

 高校生が同一試合で複数55m以上を投げ合ったのは初めてのこと(※日本ジュニア・日本ユースで同一日は前例あり)。まさに過去最高の投げ合いだった。

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