マラソン代表、一山麻緒の原動力。ポジティブシンキングと鬼メニュー。

引用元:Number Web
マラソン代表、一山麻緒の原動力。ポジティブシンキングと鬼メニュー。

 圧巻の勝利だった。

 3月8日、東京五輪マラソン女子日本代表の最後の選考大会、名古屋ウィメンズマラソンが行なわれた。

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 優勝したのは一山麻緒。タイムは日本歴代4位であり国内レース最高となる2時間20分29秒。1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生が記録した2時間21分47秒を上回り、代表の座をつかんだ。

 「今日みたいな日が来るのが夢でした」

 レース後、喜びを率直に表した。

速さと強さを見せつける勝利。
 気象条件には恵まれなかった。雨が降り、肌寒さを感じるコンディションの中、一山は先頭集団でレースを進める。

 ペースメーカーが設定通り、1キロあたり3分20秒のペースを保ち、推移する。

 レースが動いたのは30キロ過ぎだった。

 給水したあと、一山がスピードを上げて飛び出す。海外の選手も振り切り単独トップに立ったのだ。

 失速することなく、そのままトップでゴール。速さと強さを見せつける勝利だった。

 狙い通りの走りだった。30キロ過ぎの給水で毎年レースが動くと陣営からアドバイスを受けていた一山は、「(給水を)取り遅れて海外の選手と差が出るより、いちばんで給水を取って勝負していく方がスムーズにレース展開できる」と考えていた。

 そして30キロからが本当の勝負であるとも思っていた。

五輪代表へのハードルが上がっても……。
 そのための準備もしてきた。

 今年2月、アメリカのアルバカーキでの高地練習を自ら望み、1カ月弱の合宿を敢行、トレーニングをやり抜いた。

 合宿の直前には大阪国際女子で松田が好タイムをマークしていた。

 「松田さんがいい記録を出してから、いい練習ができました」

 五輪代表へのハードルが上がったことをプレッシャーとしなかった。

「鬼メニュー」をしっかりとこなした。
 この日の悪条件に対してもそうだ。

 「こういう日だからこそ、オリンピックを決めたら格好いいなと思って走りました」

 ポジティブに捉えられる力が大会への準備、レースにいきた。そしてポジティブになれたのには、もともとの性格とともに、練習で得た手ごたえもあったからだろう。

 昨年の東京マラソンで初めてフルマラソンを走り、2時間24分33秒をマーク、注目を集めた一山は、昨年9月のMGCでも有力選手の1人と目されていた。

 いざ当日、スタートから前に出ると最初の5キロを16分31秒、2時間20分を切れるハイペースで飛ばした。だが、暑さの中、後半遅れて6位にとどまった。

 「MGCが終わって、1カ月くらいは気分も乗らず、走りたくないという気持ちにもなりました。心と体が連動してなくて、辛い時期でした」

 レースのダメージがあった。それでも立て直し、名古屋に出場することを決める。

 一度落ち込み、そこから持ち直したから気持ちが揺らぐことはなかった。

 所属するワコールの永山忠幸監督の、一山いわく「鬼メニュー」をしっかりとこなし、進んできた。

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