東洋大・相沢2区モグス記録更新 急逝恩師にささぐ

引用元:日刊スポーツ
東洋大・相沢2区モグス記録更新 急逝恩師にささぐ

<第96回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京-箱根(5区間107・5キロ)

東洋大の相沢晃(4年)が「花の2区」で驚異の区間新記録をたたき出した。1920年(大9)創設の箱根駅伝100年で、初となる「5分台」の1時間5分57秒。09年モグス(山梨学院大)の1時間6分4秒を11年ぶりに更新した。64年東京五輪の男子マラソン銅メダリスト円谷幸吉さんと同じ福島・須賀川市生まれの縁に導かれ、東京五輪は1万メートル代表を狙う。チームは相沢の7人抜きで7位浮上も最終的に11位。12年連続3位以内どころか05年以来のシード落ち危機に陥った。

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「学生最強」の称号を「学生最高」で証明した。東洋大の相沢が令和初、創設100周年の箱根で史上初の1時間5分台を刻んだ。ラスト全力で戸塚中継所に駆け込むと、もう立ち上がれない。仲間に引きずられた先で息を整え「正直、自分でも驚いた。1時間6分30秒が目安だったので」。ケニア人モグスの1時間6分4秒を7秒更新。解説の瀬古利彦氏も「まさか。驚かされた」と感服させた。

主将として往路3連覇を狙った中、想定外の逆境でスイッチが入った。昨年まで2年連続区間賞の1区西山が14位。たすきを受け「朝は震えるほど緊張していた」という相沢が「みんな抜く」と開き直った。1つ前の13位で出た予選会記録トップの東京国際大・伊藤を追う。6・2キロで追いつき、そこから全23・1キロのうち14・3キロを並走した。

7月のユニバーシアード・ハーフマラソンで相沢が金、伊藤が銅の好敵手。抜きつ抜かれつのデッドヒートに「足にきたけど伊藤君と一緒だったから記録が出た」と力を引き出され、権太坂からの上りを5キロ14分10秒台で踏破した。20・5キロで背後の酒井監督から「モグス超えできるぞ」と声が飛ぶと、リミッターを外して伊藤を突き放す。2キロ超のロングスパートで大記録。昨年、順大塩尻が出した日本人最高の1時間6分45秒を超えるどころか留学生モグスまで抜いた。鉄紺のOBを上回ったことにも納得。東京五輪マラソン代表に内定した服部勇馬の1時間7分4秒より1分以上も速く走り「タイム的には自信になった」と笑った。

7人抜きでトップと2分2秒あった差を38秒まで縮めた。区間新は昨年の箱根から出雲、全日本、そして今回と3大駅伝4連続。完全に制圧した学生界を踏み台に、同郷の円谷さんと同じ五輪へ向かう。2世発掘を目的とした福島の円谷ランナーズに所属。16年12月には監督の芳賀敏郎さんが58歳で急逝した。「中学時代、芳賀さんに走る楽しさを教えていただいたから今がある」。大学進学後で葬儀には参列できなかったが「芳賀さんのためも含め、今日の走りができて良かった」と相沢。先人の思いを継ぐ恩師へ快挙をささげ「1万メートルはスピードもスタミナも必要。箱根は東京五輪への、いい通過点」。56年ぶり五輪イヤーの往路でレジェンドからの夢のたすきがつながった。【木下淳】

○…相沢が3月の東京マラソン出場へ意欲を見せた。既にエントリー済みで「状態次第」と前置きした上で「もし出られれば2時間10分を切るとかタイムは目標にしない。大迫(傑)さんや設楽(悠太)さんが出られるのなら先頭集団でいけるところまで」と語った。また、昨年の箱根で樹立した4区の区間記録が青学大吉田に更新されたことには「20年くらい破られないと思った」と笑わせ「素直に祝福したい」とたたえた。

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◆相沢晃(あいざわ・あきら)1997年(平9)7月18日、福島県須賀川市生まれ。長沼小3年の時に円谷ランナーズで始め、長沼中から学法石川高。明大主将の阿部弘輝は同期。東洋大では2年から箱根駅伝出場。今年の日本選手権では5000メートル(5位)1万メートル(4位)と大迫傑以来の学生ダブル入賞を果たす。卒業後は旭化成入り。1万メートルで東京五輪、マラソンで24年パリ五輪を目指す。178センチ、62キロ。

◆モグスの2区の区間新VTR 山梨学院大4年時の09年に1時間6分4秒の記録をマークした。4位でタスキを受け取ると、1・7キロ過ぎで明大、2キロ付近で早大を抜いて首位に浮上。その後の21キロ余りは一人旅を続け、前年の自身の記録を19秒更新する区間新を樹立。2区で2年連続区間新は80年瀬古利彦氏以来、29年ぶりだった。ちなみに1年時の06年も2区で出場。区間記録は逃すも、当時2区では史上2位タイとなる12人抜きの快足を披露している。