【箱根への道】中大・舟津彰馬「漫画の主人公になりたい」入学わずか3か月で主将就任

引用元:スポーツ報知
【箱根への道】中大・舟津彰馬「漫画の主人公になりたい」入学わずか3か月で主将就任

 第96回箱根駅伝(1月2、3日)で史上最多93度目の出場となる中大が、8年ぶりのシード権奪回に燃えている。中大史上初めて1、2年時に駅伝主将を務めた舟津彰馬(4年)は、今季も駅伝主将として本戦エントリーまでチームを引っ張ってきた。「漫画の主人公になりたい」という夢を実現するため、異例の経験を糧に大舞台に挑む。

 舟津の口調は熱を帯びていた。「漫画の主人公になりたいと、ずっと思っているんです。世界には正直かなわないと思う選手もたくさんいる。でも、それに立ち向かっていくことが自分を奮い立たせる。限界を知るより、限界のその先に進んでいきたい」と夢を語った。

 まさに漫画のような大学生活を送ってきた。今回で史上最多93度目の出場となる名門も近年は低迷。16年4月に就任した藤原正和・駅伝監督(38)は同年7月、「伝統うんぬんと言ってられない状況だった」と、入学わずか3か月だった1年生の舟津を駅伝主将に任命する大改革に打って出た。

 舟津も意気に感じ、懸命にチームを引っ張った。だが「リーダーシップにあふれて走りも尊敬できる。練習も真摯(しんし)に向き合える」と思い描いていた主将像に現実が追いつかず、異例の肩書が重圧に変わった。1年時には93年ぶりに本戦出場も逃した。それでも志願して続投したが「理想の自分を勝手に作ってしまって、激動でついていけないまま、あっという間にシーズンが終わっていく感覚だった」と振り返る。

 苦しい中でも踏ん張れたのは、漫画で見てきたヒーローの姿に自身を重ねていたから。投げ出したいと思う時もあったが「『漫画の主人公みたいな経験してるな』って思えたからこそ頑張れた」。3年時は藤原監督の配慮で役職を外れたものの、4年時は再び駅伝主将に就任。以前は弱みを見せなかった男が「仲間と思える駅伝主将を目指す」とコミュニケーションを重視した。言葉でも背中でもチームを引っ張り、箱根本戦の登録では信頼する田母神一喜へ駅伝主将を引き継いだ。

 一昨年の両膝の故障を教訓にケアに力を入れ、夏合宿は900キロを走破。シード権獲得へ区間5位以内を目標に掲げる。実は映画観賞が趣味の「インドア派」。自分を変えようと、中学時代から学級委員や主将に立候補してきた。「これから陸上を始める人で1年生から主将をやったり、チームを作っていきたいと思う人が出てくれば、自分はその人にとっての主人公になれたかなと思うんです」。最後の箱根で、夢を与える走りを見せる。(林 直史)

 ◆舟津 彰馬(ふなつ・しょうま)1997年9月25日、福岡市生まれ。22歳。中学時代はバスケットボール部。福岡大大濠高で本格的に陸上を始める。2016年に中大経済学部に入学し、7月に1年生ながら主将に就任した。10月に予選会で敗退し「先輩たちを悪く言う人は僕が許しません!」という絶叫あいさつが話題に。箱根駅伝は2年時に1区12位、3年時が6区17位。好きな漫画は「スラムダンク」。169センチ、57キロ。

 ◆中大 1920年創部。箱根駅伝は20、24、2017年の3回を除き全て出場。優勝(14回)、連続優勝(6回)、出場(93回)、連続出場(87回)の最多記録「4冠」を誇る。出雲駅伝と全日本大学駅伝は2位が最高(ともに3回)、タスキの色は赤。長距離部員は選手37人。主な陸上部OBは99年セビリア世界陸上男子マラソン銅メダルの佐藤信之、立大駅伝部監督に就任した上野裕一郎氏ら。大学OBは巨人2軍監督の阿部慎之助氏ら。

報知新聞社

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