区間エントリーから読む第96回箱根駅伝。直球と変化球が交錯する各校の“戦術駅伝”やいかに。

引用元:Number Web
区間エントリーから読む第96回箱根駅伝。直球と変化球が交錯する各校の“戦術駅伝”やいかに。

 青山学院大学の原晋監督が言った。

 「今季の箱根駅伝は、『戦術駅伝』になります」

 戦術駅伝とは、どういった駅伝なのか。端的にいえば、「監督の采配(区間配置)によって順位が入れ替わる駅伝」という意味だ。

 長年観察してくると、監督によって「直球」を選択する場合と、「変化球」で挑む場合がある。

 今大会でいわゆる「5強」を形成している東海大学、青山学院大、東洋大学、駒澤大学、國學院大學の監督が、どういった球種で区間エントリーを行ったのかを見ていこう。

東海大のポイントは、3年生の起用法。
 連覇を狙う東海大の両角速駅伝監督は、分かりやすい直球だ。

 前回の優勝メンバーである1区鬼塚翔太(4年)、3区西川雄一朗(4年)、5区西田壮志(3年)、8区小松陽平(4年)、10区郡司陽大(4年)を前回と同じ区間にエントリーするなど、経験を重視している。

 東海大のポイントとなるのは、3年生の起用法だ。

 全日本大学駅伝で3区を好走した塩澤稀夕を2区、8区で青学大を逆転し、優勝の立役者となった名取燎太を補欠に入れた。

 すでに実力は証明済みのふたりだが、特に気になるのは名取の起用法だ。

 前回、東海大は4区で舘澤亨次(4年)が2位に浮上し、総合優勝に向けての足場を固めた。今回も両角駅伝監督は4区を重視してくるだろう。主将であり、前回は4区を走った館澤も補欠に入っているが、今回は名取の方が調子は上向き。4区・名取でトップをうかがい、前回、5区で区間2位のタイムで走っている西田壮志で首位へ――。

 そんなシナリオが見えてくる。補欠には館澤、名取だけではなく、前回7区で区間2位の阪口竜平(4年)も控えており、やはり選手層の厚さはナンバーワン。区間エントリーを見ると、優勝候補の筆頭であることは間違いないだろう。

岸本大紀が化ければ青学大にチャンスが!
 対抗の一番手は、全日本大学駅伝で2位に入った青学大だ。

 今回の区間エントリーを見ると、原監督の采配は基本的には直球だが、今回は変化球を織り交ぜている。特に、2区と補欠の人員配置は興味深い。

 花の2区には1年生の岸本大紀を起用する。が、青学大が1年生をこのエース区間に起用するのは極めて稀。今後、岸本をエースとして大きく育てようという意図がうかがえるが、岸本は出雲駅伝の2区で区間賞、全日本大学駅伝も2区を担当して区間5位と結果を残している。

 原監督は「岸本はどれだけ練習しても、食が細らない。見かけはほっそりしているけど、結構、骨太」と、2区での大駆けに期待している。岸本が将棋でいう「成金」となれば、青学大のチャンスは膨らむ。

 そして、優勝争いに向けてポイントになってくるのは4区だ。前回、青学大は3区で首位に立ちながら、この4区で東洋大、東海大に抜かれ、流れを失った。

 箱根駅伝の場合、失敗した区間があると、翌年の区間配置に影響を及ぼすと神奈川大学の大後栄治監督は話す。

 「前回で失敗した区間があると、そこをどうしても補いたくなっちゃうんですよ」
 この「大後理論」で考えていくと、原監督は補欠に入っているエースの吉田圭太(3年)を4区に起用するのではないか。吉田がエースらしい走りを見せれば、いい形で5区の飯田貴之(2年)にたすきをつなぐことが出来る。

 復路の選手層の厚さは東海大に匹敵するだけに、4区終了時点での順位が重要になりそうだ。

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