国立競技場「一足先に入ってみた」 客席は上に行くほど急になる仕組み

引用元:毎日新聞

 3年の歳月を経て産声を上げた「杜(もり)のスタジアム」。15日の報道向け内覧会で、全貌に迫るべく4時間かけて歩いた。

 地上5階、地下2階建ての国立競技場。午後1時半、全体を見渡せる4階席へ向かった。1階から階段で上ると徐々に息が上がる。席からスタジアムを眺めると、意外にも臨場感があった。

 客席は3層に分かれ、4階は3層目。傾斜の角度は1層目が20度、2層目が29度、3層目が34度で、上に行くほど急になる仕組みだ。運営する日本スポーツ振興センター(JSC)によると、34度は札幌市の大倉山ジャンプ競技場にあるジャンプ台とほぼ同じ斜度。JSCの担当者は「旧国立は平らなお皿状だったが、この競技場はすり鉢状」と説明する。トラックから客席までの距離は1階最前列まで約15メートルあるが、上段は遠さを感じない。

 「空の杜」と呼ばれる5階の展望エリアに進んだ。地上約20メートルの空中回廊は、1周約850メートル。歩くと約10分のコースには、ウメやサクラ、モミジなど100種類以上の樹木が植えられている。好天に恵まれたこの日は、東京スカイツリーも見えた。看板には「ランニングやスポーツを行うこと」が禁止事項として記されていた。散策には格好のスポットになるだろう。

 酷暑での開催が予想される東京大会。競技場にはあらゆる箇所に風が吹き抜けやすいスペースが施されたが、冬は「隙間(すきま)風」のように感じる。屋根には空気の流れを制御する羽板を設置して客席に風が吹き下ろさないというが、気がかりだ。21日のオープニングイベントは夜の開催だけに、防寒対策も必要だろう。

 午後4時半。最後に地下2階に相当する陸上トラックに降りた。薄暗い周囲を1500基のライトが照らす。競技ごとに照明箇所を変えることができ、影を作らないような配置も工夫されている。

 大会中はまず立ち入れないエリア。緑色の芝と赤茶色の9レーンのトラックが、スポットライトを浴びて浮かび上がる。満場のスタンドで、文字通り脚光を浴びるアスリートの姿を待つ舞台は整った。【岩壁峻】

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