「陸上の指導は2割」原晋監督の勝負眼&教育哲学――。史上初2度目の3連覇に導いた人材育成【箱根駅伝】

引用元:THE DIGEST
「陸上の指導は2割」原晋監督の勝負眼&教育哲学――。史上初2度目の3連覇に導いた人材育成【箱根駅伝】

 青山学院大が1月2日、3日に行なわれた第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)で、10時間37分34秒の大会新記録で総合優勝を飾った。

 史上初めて2度目の3連覇を達成した同大の原晋監督は、駅伝ファンからするとサプライズなオーダーを組んできた。過去2大会、ともにエース区間の2区で好走していた黒田朝日(4年)を5区に投入したのだ。

 1区では16位と出遅れ、その後は徐々に順位を上げたものの4区終了時にはトップの中央大と3分24秒差の5位だった。苦しい状況から黒田が歴史的な激走で猛烈に追い上げ、19キロ過ぎにはついに早稲田大をかわしてトップに立つ。青山学院大のエースは従来の区間記録を1分55秒も上回る1時間07分16秒の区間新をマークし、チームを往路3連覇に導いた。

 復路も順調そのものだった。8区の塩出翔太(4年)が1時間03分45秒の区間新記録をたたき出し、9区で1時間07分38秒だった佐藤有一(4年)と連続区間賞を獲得。最後は10区の折田壮太(2年)が1時間07分59秒の区間2位で危なげなく逃げ切った。 

 終わってみれば今季も圧倒的な強さで箱根路を制した。レース後に各大学の監督や選手らに取材をするなかで驚いたのが、“5区・黒田朝日”を予想していたライバルがいた点だ。このことを原監督に伝えると、事も無げに「本気で箱根駅伝に向き合っている方は、それぐらい予想しますよ」という答えが返ってきた。

 また、青山学院大の選手たちは高い競技力に加え、個性的で表現力の豊かな学生が多いと言われている。その育成法について尋ねると、名伯楽はこう述べた。

「陸上の指導は2割。8割は哲学的なところから教育をしていく。教育では、勝った負けたではありません。箱根駅伝を通じて社会に役立てる人材を育成するのが、私の教育理念です」

 陸上部だけでなく、教壇に立ち多くの学生らを指導する原監督は、箱根駅伝での圧倒的な強さと、明確な目的を持った人材育成を両立している。

取材・文●野口一郎(THE DIGEST編集部)