北京五輪は「ジャパンハウス」なし? 専用施設をつくるのが慣例だが…【岡崎朋美のすべらないい話】

北京五輪は「ジャパンハウス」なし? 専用施設をつくるのが慣例だが…【岡崎朋美のすべらないい話】

【岡崎朋美のすべらないい話】#15

 北京冬季五輪が2週間後に迫ってきた。新型コロナウイルスの再拡大による不安もあるがもうひとつ心配なのが「ジャパンハウス」。

 五輪期間中は選手村での寝泊まりがメインになるが、日本は村外に独自の日本代表専用施設をつくるのが恒例だ。温かい料理を中心に、スポンサー企業が提供してくれるレトルト食品やおにぎりなども用意され、選手の食生活を大きく支えている。

 しかし、北京五輪ではこのジャパンハウスがつくれないらしい。つくったとしても選手村から一歩も出られない状態。選手は中国ルールの下でベストを尽くさなければならない。

 W杯で中国に遠征したとき宿泊させてもらった3つ星ランクのホテルの中華ビュッフェは種類が豊富でおいしかった。馴染みのない得体のしれない料理もあったけど、本場の中華料理。チャレンジ精神に火がついた。

 驚いたのはチェックアウトのとき。部屋を出る際にハウスキーパーから「ちょっとそこで待ってて」と制され、私がホテルの備品を持ち去っていないか徹底的にチェックされたのだ。きっと勝手に持ち帰る人がいるんだろう。「持って帰るようなものなんて何もない部屋じゃん!」と思ったけど。

 でも、その後、もっと驚かされたことがある。カナダの遠征中、O監督がスケートの部品をタオルで包んでいた。そのタオルを見ると、前の宿泊先のホテルのもの。備品を勝手に持ち帰っている人が、一番近くの身内にいた。「ダメでしょ!」と思わずツッコんでしまった。

 カナダで定宿にしていたホテルを再訪した際にはこんなことも。

 ふと、ハウスキーピングの人の足元を見ると、見覚えのある靴。前年に私が置いていったミズノのシューズだった。当時、海外遠征に少し履きつぶした靴を持って行き、帰国する時にホテルに置いていったが、大切に履いてくれていてうれしかった。それ以来、替え時の靴をわざわざ持って行き、ゴミ箱の隣に置いて「寄付」することも。チームで宿泊する際は「チップはまとめて払うから、個人的にやる必要はない」と言われていたけど、ハウスキーパーさんと仲良くなると、小銭やまだ使えそうなものを置いていった。ちゃんと分かるよう「FOR YOU」とお手紙を添えて。

■中国国営放送から取材され…

 北京五輪といえば先日、長野の選考会を見に行った際、中国国営放送からインタビューされた。

 うかつなことは言えない、良いこと言わなきゃ……と思ってガラにもなく緊張した。ときどき、私の答えに記者の人が「ん?」と険しい顔している。ドキドキだった。

「(中国が五輪のために新しく造った)施設が五輪後、世界大会の会場や一般開放となれば、国同士の行き来も増え、それを機にスポーツの輪が広がればいいですね」というようなことを言ったら、そこはすごくうなずいていた(笑い)。ちゃんと放送されるのか、不安だ。

(岡崎朋美/長野五輪メダリスト)

▽おかざき・ともみ 1971年、北海道清里町出身。94年リレハンメルから98年長野、2002年ソルトレークシティー、06年トリノ、10年バンクーバーと日本女子最多の冬季五輪5大会出場。長野で日本女子短距離選手初のメダル(銅)を獲得した。07年に結婚、10年12月に女児を出産。14年ソチ五輪代表入りを逃し、現役引退。20年マスターズ国際スプリントゲームズで世界新記録を更新して金メダル獲得。現在は全国各地で講演会を行う。聖徳大学客員教授。日本学生陸上競技連合理事

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