声を信じて見えない世界跳ぶ…パラ走り幅跳びの高田千明選手、元五輪選手と信頼培い恐怖克服

 声を頼りに、見えない世界を駆け、空中へ跳び出す――。陸上女子走り幅跳び(視覚障害)の高田千明選手(36)(ほけんの窓口グループ)は、踏み切り位置を伝える「コーラー」の大森盛一(しげかず)さん(49)との信頼関係を培い、恐怖心を乗り越えた。(松田祐哉) 「イチ、ニ、サン、シ、ゴ」。27日午前、無観客の国立競技場に響く大森さんの声と手拍子に合わせ、駆けだした高田選手が勢いよく砂場に跳び込む。1回目にいきなり自身が持つ日本記録を5センチ上回る4メートル74の跳躍を見せた。 競技を始めたのは約9年前。息の合った関係になるには長い時間がかかった。 走り幅跳びはコーラーの声を頼りに走り、踏み切る。まず、真っすぐに走るのが難しい。走れても砂場の外に着地する恐怖で跳べず、何度もそのまま駆け抜けた。 「跳べよ」。大森さんから叱責(しっせき)されても、体が拒否反応を起こしてどうにもならない。「跳べないんだってば」。練習を途中で打ち切ることもあった。 「本当に危ない時は体を張って止めてくれる。大森さんがダメって言わなければ跳んでも大丈夫」。そう信頼できるまで、数年を要した。

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