大番狂わせ 無名の研究者が金メダル 自転車女子ロード

引用元:毎日新聞
大番狂わせ 無名の研究者が金メダル 自転車女子ロード

 自転車女子ロードレース界の頂点に立ったのは無名の“リケジョ”だった。

 かつては英国の名門ケンブリッジ大で数学を学び、現職はスイス連邦工科大ローザンヌ校の博士研究員。しかも、世界ランキングは94位のアマチュアという、アナ・キーゼンホファー(オーストリア)が、25日に行われた東京オリンピックの自転車女子ロードレースで、3時間52分45秒で金メダルに輝いた。

 「25位ぐらいに入れればと思っていた。まさかこんなことになるとは」と本人さえ驚く番狂わせだった。なにしろ、複数の選手がエースをサポートして、上位を狙うのがロードレースの常識だからだ。しかも、周りはプロばかりだというのに、強豪国ではないオーストリアの選手は一人だけ。孤立無援の逆境を打開するために、名探偵ポアロで言うところの「灰色の脳細胞」がフル回転した。導き出した最適解は「自分は短い距離を一人で走るのが得意」という序盤からの大逃げだった。

 当初は5人のグループを形成したが、名のある選手たちが次々と脱落。それでも、脚が止まらなかったキーゼンホファーが一人残った。残り10キロほどになると勝利を確信し、笑顔を見せながら走る。最後は両手を突き上げて、フィニッシュした。

 大学では研究も授業もこなす。競技面では、アマチュアゆえにトレーニングプラン、レースプラン、補給の量や確保など、すべてを自分だけで行わなくてはならない。「両立するのは確かに大変。でも、最終的に信用できるのは自分だけとわかったわ」と屈託なく笑った。【岸本悠】

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