陸上・山縣亮太、試練にも屈しない「成長力」で道をひらく

引用元:TOKYO 2020
陸上・山縣亮太、試練にも屈しない「成長力」で道をひらく

「いやぁ、『さらなる辛抱の時間』という感じですかね」

 リオデジャネイロ2016オリンピック以降の4年半について、山縣亮太は苦笑いを浮かべながら、こう表現した。陸上競技男子100mと4×100mリレーで過去2大会連続出場。リオ2016大会では4×100mリレーの第1走者として、銀メダル獲得に大きく貢献した。その山縣は以前、ロンドンからリオまでの4年間について「辛抱の時間だった」と語っている。ハムストリング、腰、股関節とケガが相次ぎ、2015年に行われた世界選手権の出場を逃すなど、アスリートとして伸び盛りの20代前半は、厳しい時期が続いていたからだ。

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 それでも2016年はコンディションを整え、オリンピックの出場権を獲得。100mでは準決勝で自己ベストを更新する10秒05をマークし、4×100mリレーでも会心の走りを見せた。当時24歳で、成熟度が増していくこれからのことを考えれば、100mでの9秒台も当然、視野に入ってくるはずだった。

 しかし、リオ2016大会から4年半が経過した現在、山縣はまだ9秒台に届かずにいる。自己ベストは10秒00。その間、桐生祥秀(9秒98)、サニブラウン・アブデル・ハキーム(9秒97)、小池祐貴(9秒98)の3人が10秒の壁を突破した。ライバルたちが記録を伸ばしていく焦燥、そしてここ2年間ケガで離脱した歯がゆさが、冒頭の言葉につながっているのだ。

技術がうまくハマり、日本人選手に対しては無敗

2018年は走りの技術がうまくハマり、アジア大会でも銅メダルを獲得 もっとも2018年は、好調さが際立っていた。日本選手権では100mで5年ぶりとなる優勝を果たすなど、日本人選手に対しては無敗。8月のアジア競技大会では100m決勝で10秒00をマークし、銅メダルを獲得した。

「2018年は走りの技術がうまくハマった年でした。夏くらいまでは重心を前に持ってきていて、前傾を意識していたんですけど、それを意識し過ぎて問題になりかけたところで、今度は重心を後ろに置くようにしたんです。前に持ってきていた意識を後ろにしたことで、秋にはちょうどそれが真ん中になり、バランスが取れるようになりました」

 実際に山縣は、同年9月に行われた全日本実業団対抗陸上競技選手権大会の決勝レースを、自身の理想に一番近い走りとして挙げる。タイムこそ10秒01だったが、重心のバランスが保たれ、加速につなげた後半は後続を一気に引き離した。

「このレースは1つの完成形に近い走りでした。細かい部分ではスタートして顔がすぐに上がってしまったとこともあり、100点ではないんですけど、大きな視点で見れば体の出来も走りも良かったと思います。あとはアジア大会の決勝も、技術レベルとしては全日本実業団よりは下がりますが、そのとき出せる90%以上の力を発揮できたので、すごく良いレースでしたね」次ページは:困難を乗り越える過程を楽しんでさえいる

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