台風被害で「たすき渡し」見られず 神奈川県高校駅伝

台風被害で「たすき渡し」見られず 神奈川県高校駅伝

 11月2日に神奈川県山北町の丹沢湖周回コースで予定されていた県高校駅伝競走大会(男子72回、女子36回)が、台風19号の影響で、同日に小田原市の城山陸上競技場で実施される運びとなった。トラックでの代替レースは初めてで、今年は全国大会を懸けた風物詩の「たすき渡し」が見られない。温暖化で年々、台風などの災害被害が増えており、選手の安全を考慮に入れた大会運営はさらに重要性を帯びてくる。

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◆土砂崩れで道路ふさがれ

 苦渋の決断だった。10月28日、大会を主催する県高体連陸上競技専門部は現地コースを視察した上で、開催地変更を最終判断した。

 12日に豪雨災害をもたらした台風19号。コース周辺は土砂崩れや倒木で道路がふさがれ、ガードレールが滑り落ちた場所もあった。

 復旧作業は急ピッチで進められたものの、山の斜面に水を含む土砂がとどまっている「落ち残り」が散見され、同専門部の金沢健敏委員長は「ここからは可能性の問題。最悪のケースが起こり得ることも考えて決めた」と判断。参加校のエントリー選手だけでも男女合わせ800人を超える。応援に回る他の陸上部員や保護者らを合わせれば、さらに観覧者は膨らむ。安全を最優先し、陸上競技場での実施に踏み切った。

 前例のないトラックでの競技方法は、各校、男子7人、女子5人が区間距離に相当する3000~1万メートルの周回を順次走り、総合タイムで学校の順位を決定。男女の優勝校が12月22日に京都市で行われる全国高校駅伝に出場する。たすきをチームで運ぶ姿は見られないが、運営側は監督会議を通じ「できるだけ駅伝に近い形」を模索してきた。金沢委員長は「異例のことではあるが、今後も災害時の(代替大会の)モデルパターンの参考になるはず」と、不測の事態を想定した準備の必要性を強調した。

 事前に開催地変更の可能性が周知されていたため、ある強豪校の監督は「うちはロード(一般道路)で力を発揮するチームだけれど、選手は意外と冷静に受け止めている。仕方がないこと」と理解を示した。

 一方、昨年まで県内高校チームで丹沢湖を走り、現在は大学で箱根駅伝出場を目指す選手は「駅伝はロードでやるもので、たすきをつないで締めくくる。丹沢は特別というか。しょうがないけれど、選手がかわいそう」と、後輩らをおもんぱかった。

 今回は各レースごとに選手がたすきを掛け直し、思いをつなぐチームが出てくる可能性もある。スポーツが災害とどう向き合っていくか-。重要な課題が投げ掛けられている。 神奈川新聞社

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