大山加奈が語る性的画像問題の盲点 「見られて減るものじゃない」薄かった被害者意識

引用元:THE ANSWER
大山加奈が語る性的画像問題の盲点 「見られて減るものじゃない」薄かった被害者意識

「THE ANSWER」はスポーツ界を代表する元アスリートらを「スペシャリスト」とし、競技の第一線を知るからこその独自の視点でスポーツにまつわるさまざまなテーマで語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。元バレーボール日本代表の大山加奈さんが「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務め、バレーボール界の話題、自身のキャリアからスポーツ指導の哲学まで定期連載で発信する。

 今回のテーマは「スポーツ界の性的画像問題」。昨年11月、日本オリンピック委員会(JOC)などが女性アスリートの性的な撮影、画像の拡散などの問題を受け、被害撲滅に取り組む声明を発表し、注目を浴びた。10代から活躍し、「パワフルカナ」の愛称で抜群の知名度を誇った大山さんが、かつて自身が経験した被害について告白。現役世代の中高生にメッセージを送った。(文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 アスリートの競技環境を巡り、スポーツ界でまた一つ、新たな動きが起きている。

 競技中の胸、尻などを意図的にアップするなど、性的意図をもって女性アスリートが撮影され、その画像がネット上で拡散されるなどの問題が常態化していたことを受け、JOCと日本スポーツ協会など7団体が昨年11月に被害撲滅に取り組む共同声明を発表。以降、現役アスリートを含め、様々な競技からこの問題に対する声が上がり、変化の流れが生まれている。

 大山さんも体罰、勝利至上主義など、スポーツ界で選手の立場を考える様々な問題を発信してきた立場として、うれしく思っている。

「今までは流されてきてしまった問題でした。アスリート側が我慢をしなければならず、諦めざるを得ない。もう、ある程度は仕方ないという認識となっていたところが、動き出してくれたのはとても良いことだと思います。一方で、具体的にどんな対策をしてくれるのか、見守りたいです」

 逆に言えば、今までは声が上がらなかった問題だった、という裏返しでもある。その背景について「私の場合はある程度はしょうがない、諦めが大きかったです」と言い、女性アスリートとして自身が陥っていた心理構造を語る。

「小学生からこういう世界にいると“女を捨てる”じゃないですが、見られても減るものじゃないし……くらいの認識で生きてきてしまいました。学生時代はそこらへんで普通に着替えますし、危険について意識が向いていなかったと思います。

 だから、そういう画像が出回っていても、実はそこまで重く受け止めていなかったんです。実際に見ても、仲間同士で『こんなのあるよ』と笑いながら見ていたというのが正直な経験です。今になって思うと、本当は良くないことですが……」

 大山さん自身、学生時代に観戦した試合で前の列に座っていた男性が選手の尻をアップにして撮影していた場面を見たこともある。赤外線カメラでユニホームを撮影し、下着が透けた写真がネット上で出回った時は自身も被害を受けたが、重く受け止めなかった。その後悔の念がある。

 言うまでもないが、非は撮影する側にある。しかし、競技に打ち込むあまり、女性らしさを捨てるようにして競技力を高める、いわゆる昭和のスポ根の名残で、守るべきプライバシーの意識が希薄化。被害者であるはずの選手自身に当事者感覚が薄かったことも事実という。

 今まで様々な選手の声が上がっているが、これは、この問題で隠れていた一つの“盲点”と言えるかもしれない。

「女性アスリートはほかの競技もきっと同じように思ってしまっているんじゃないかと思います。そんな風に見られたり、撮られたりすることが当たり前になっている部分がある。だから、声もなかなか上がってこなかったのではないかと想像します」次ページは:ショックだった会場トイレの盗撮画像、ユニホームの機能性と露出のバランスは…

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