東京五輪男子1万M代表の相沢が5000Mで出場にも色気を示すわけ

東京五輪男子1万M代表の相沢が5000Mで出場にも色気を示すわけ

 4日の陸上の日本選手権長距離種目男子1万メートルを27分18秒75の日本新記録で制し、東京五輪代表に決まった相沢晃(23)=旭化成=が一夜明けた5日、大阪市内で記者会見し、東京五輪での入賞を目標に設定した。同じ福島県須賀川市出身の故円谷幸吉氏が1964年東京五輪の1万メートルで6位に入賞。東日本大震災から10年となる来年、被災地に希望を届けるためにも先人の実績に迫る決意を示した。さらに5000メートルでの五輪出場にも意欲を見せた。

【写真】「笑わない男」が笑っている写真をカメラマンが探してみた

 驚異の日本新から一夜明けても相沢の興奮は冷めなかった。「自分が優勝したのかという気持ちで、まだすごくドキドキしている。選ばれたからには結果を残すのが使命。同郷の円谷選手のように入賞できるよう、もう2段階高めていきたい」。勢いのまま掲げた目標は、円谷氏を意識していた。

 円谷氏と同じ東京五輪という舞台。さらに来年が東日本大震災から10年という点も特別な意義と感じている。相沢自身、震災では近くのダムが決壊して自宅前の道路まで水が流れてくるなど恐怖を味わった。「元気づけられたのが箱根駅伝だった。僕も震災や今年の九州での豪雨で被災された方々に元気を与えられる走りをしたい」。4日のレースでは今年亡くなった祖母と同日が命日だった中学校時代の恩師を思い、快走の原動力になった。五輪でも地元の期待を力に変えるつもりだ。

 男子1万メートルで五輪入賞した日本人選手は4人。2000年シドニー大会7位の高岡寿成氏が最後で、21世紀に入ってからはアフリカ勢の厚い壁にはね返され続けている。「まだ世界記録と1分以上開きがある。課題はスピード」と自覚する相沢は、来春から5000メートルの強化に取り組む。

 「今回は1周(400メートル)66秒以下のペースをきついと思わないよう練習した。これをどれだけ上げられるか。5000メートルでも五輪を目指すことが1万メートルで世界に通用することにつながる」と2種目目も取りに行く構え。五輪参加標準記録は自己ベストの13分34秒94を20秒以上上回る13分13秒50と高いハードルだが、約1カ月半で1万メートルの自己記録を40秒近くも縮めた成長力を信じている。

 五輪開催に賛否が分かれていることも相沢の使命感を高めている。「開催に反対した人も終わってみれば良かったと思えるパフォーマンスを見せたい。自国開催の今回、日本人のプライドをもっと持てるように取り組む」。マラソンの銅メダルで日本中を熱狂させた円谷氏のように、その走りで国民の心をつかむ。 (末継智章)西日本スポーツ

フォローする