涙の2位「まだまだ弱い自分がいる」広中璃梨佳が見せた成長の証し

涙の2位「まだまだ弱い自分がいる」広中璃梨佳が見せた成長の証し

 陸上の日本選手権長距離種目は4日、東京五輪代表選考会を兼ねて大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、1万メートルは男子で23歳の相沢晃(旭化成)、女子で32歳の新谷仁美(積水化学)が日本新記録で優勝して代表に決まった。女子5000メートルで21歳の田中希実(豊田自動織機TC)も五輪切符を手にした。女子5000メートルで五輪の参加標準記録を突破していた広中璃梨佳(日本郵政グループ)は田中との競り合いに敗れて2位だった。

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 惜敗した直後、何度も頭を下げた。謙虚さを重んじる広中の“儀式”。ただ、ライバルの田中と抱き合ったときに「負けてすごく悔しい」と本音が出た。勝てば五輪代表に決まる大一番で1秒46差の2位。「走りに悔いはないけど、まだまだ弱い自分がいる」とわずかに涙を浮かべた。

 出場メンバーで東京五輪参加標準記録(15分10秒00)を切っていたのは広中と田中の2人だけ。2000メートルが6分15秒とやや遅いペースにじれた広中が「周りは気にせず、自分のペースで押していこう」と中間地点付近で先頭に立ち、徐々にラップを速めて後続を振り落としたが、田中だけに食らいつかれた。

 ラスト1周のバックストレートで抜かれると、1500メートルと3000メートルの日本記録を持つライバルにスパート勝負で惜敗。「田中さんはラストがすごく強いな」と脱帽した。

 結果に悔いは残ったが「レース内容に悔いはない」と前を向く。9月には日本歴代3位の14分59秒37をマーク。練習でも1キロ3分を切れるほどスピードと持久力の成長を実感していた。目標にされる先頭で押し続けられたのが成長の証しだ。

 マラソン女子東京五輪代表の鈴木亜由子らを指導する日本郵政グループの高橋監督は「鈴木もできない質の練習をやるのでびっくりしている。まだ高地合宿も1度しか行かせていない。これからどれくらい速くなるか楽しみ」と伸びしろに期待する。

 最大3枠の五輪代表入りが有力なのは変わらないが、広中はさらに上を見る。「私自身は世界で戦うことを見据えている。来年6月の日本選手権で一段と強くなった広中璃梨佳を見せたい」。負けん気を見せた20歳の逆襲が始まる。 (末継智章)西日本スポーツ

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